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中南米原産の唐辛子はナス科の多年生草で、1542年、ポルトガル人宣教師バイタザール・ガコ(Balthasar Gago、1521頃-1583)が豊後の国守「大友義鎮」に唐辛子の種を献上した記録が残されていますので、間違い無くこの頃に日本へ渡来したものと言えます。 中国へ伝わったのが明朝の末期(1700年ころ)だと言われ、日本の方が先に伝わったことになります。唐辛子の「唐」は中国のことではなく「南蛮渡来」を指す言葉で、その後に朝鮮半島へ伝わったものです。 その証として唐辛子は今でも「倭椒」または「倭茄子」と呼ばれていることからも判ります。しかし日本への渡来にはいくつかの説があります。 ①1542年:南蛮渡来船説 ②1552年:ポルトガル人宣教師説 ③1605年:朝鮮からの伝来説 ④1592~98年:文禄・慶長の役の時に朝鮮からの伝来説 ①と②は九州への伝来(16世紀中盤)で、③と④は京都への伝来(16~17世紀初頭)記録です。 1613年の朝鮮文禄「芝峰縲絏」には、倭国から来た南蛮椒には強い毒が有ると記載が有り、この翌年に書かれた「芝峰類説」には、「南蛮椒には大毒があり、倭国からはじめてきたので俗に倭芥子というが、近ごろこれを植えているのを見かける。酒家(飲み屋)ではその辛さを利用して焼酎にいれ、これを飲んで多くの者が死んだ。」との記録されています。しかし、唐辛子入りの焼酎で人が死にますかネ!全くあてにならない記述です。 秀吉軍がどのように唐辛子を使ったのか記録が無いので定かではありませんが、恐らくは風上で焼きその煙を敵陣に送り込む一種の毒ガス兵器として使用されたと考えられています。 |
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![]() 文禄の役・釜山城攻略「釜山鎮殉節図」 |
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1709年に書かれた「大和本草」には「昔は日本に無く、秀吉公朝鮮を伐つ時彼国より種子を取来る。故に高麗胡椒という」との記述があります。この*高麗胡椒とは唐辛子のことです。 また、1775年の「物類呼称」には「番椒、たうがらし、京にて「かうらいごせう」と云ふ。太閤秀吉朝鮮を伐給ふ時種取来る」とあります。 つまり、先に日本へ伝来した唐辛子も、当初は余り栽培、利用されることが無く、秀吉の朝鮮侵攻(文禄の役:1592年)時に朝鮮に伝わり、後の慶長の役(1597年)で再び日本へ持ち込まれたのだと考えれられます。 *高麗胡椒は唐辛子に先行して日本へ持ち込まれたことが歴史的にも証明されています。胡椒の字は正倉院文書の中にもあり、唐辛子に先立つこと10世紀も前に日本に持ち込まれていますが、大変貴重な品(医薬向け)であったと思われ、殆ど知られることはなかったようです。 九州地方ではこの「高麗胡椒」の頭の「高麗」が無くなり,単に「胡椒」と呼ばれるようになり、今でも唐辛子を胡椒と呼ぶ人も少なくありません。 逆に東日本では「南蛮胡椒」から「胡椒」が抜け、「南蛮」になったと考えられています。柚子胡椒や南蛮味噌も共に唐辛子を利用した食品です。 |
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▲ 左が柚子胡椒で、右がスンチャン・コチュジャンです。柚子胡椒煮は赤唐辛子を原料とするものと青唐辛子を原料にする二通りのタイプがあります。 韓国の万能調味料と言える唐辛子味噌のコチュジャンは、もち米麹、大豆、麦、小麦粉、黍、粉唐辛子、醤油、塩、等を主な原材料とする発酵食品で、製法は地域によってまちまちのようです。 コチュジャンの登場は18世紀からと云われていますが、その当時のものはコチュジャンではなくコチョ((山椒))ジャン。つまり山椒味噌のことを指します。コチュ(唐辛子)ジャンが初めて登場するのは19世紀に入ってからです。本来はもち米麹で甘みを出すものなのですが、最近は麦芽糖、水飴、砂糖等を加えているものが多く、韓国食材を扱うお店では必ず何種類かが置いてあります。 上の写真のスンチャン(淳昌)産のコチュジャンは、韓国では最も高く評価されており、淳昌はコチュジャン村として知られています。 |
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![]() 世界の唐辛子消費量(2005) |
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世界中に唐辛子はどの位の種類があるかと言うのは、色や形、辛さ、大きさまで、様々で一説には2~3000種とも言われています。しかし、実際に調査してみると、名前すら付けられていない種が次々に発見されています。また、栽培種以外にも知られていない自生種も多く、自生している種同士の自然交配で新たに生まれる種もあり、正直なところ種類の数は全く判っていないようです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ 2019年 |
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一口に辛さの比較と言っても容易ではありません。実際に公表されている数値通りとは思えないものも数あります。同じ品種のものでも栽培された土地や気候が大きく作用します。しかしながら基準となる単位を定めなければ比較ができません。現在は辛さの比較としてスコヴィル値が使われます。この数値が大きいほど辛いと判定されたことになります。 日本でも有名な誰でもが知っている「タバスコソース」が30.000~50.000で、ハバネーロはこのソースの60~100倍の辛さとなりますが、大して辛いとは感じません。 私は実際にこのハバネーロをウォッカに漬け込み、ビールに入れてピリピリ感を楽しんでいます。しかしスコヴィル値は約50,000の「アフターデスソース」(左下)は本当に死ぬほど辛いです。 タバスコソースを一口舐めて次にこのソースを試してみて下さい。スコヴィル値なるものが、如何に信用できないかが解ります。タバスコソースの100倍辛いと言われても納得できます。これは絶対に辛い!「アフターデスソース」は素晴らしいネーミングです。これは死ねます! ところが世の中にはまだまだ上があり、この「アフターデス・ソース」は序の口といえる辛~いソースがあります。お値段もそれなりに(?)高価で、辛さより価格で死にそうになります。 ▼ 下は辛い唐辛子ソースを集めた海外のサイト |
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![]() The Hottest Sauce In The World ! |
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▼ おバカな兄弟が激辛ソース合戦で死亡したという記事です。まさに「過ぎたるは…」の査証! | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Aspiring chef dies hours after making ultra-hot sauce for chilli-eating contes | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
By Paul Sims Last updated at 12:16 AM on 29th September 2008 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
An aspiring cook who challenged his friend to a chilli-eating contest died just hours later. Andrew Lee, 33, had used a bag of home-grown red chillies to make a super-hot sauce. The forklift truck driver, who had recently passed a medical at work, dared his girlfriend's brother to eat a spoonful - then ate a plateful himself. Shortly after he had a heart attack and died. |
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Andrew Lee made an ultra-hot sauce with homegrown chillis. The morning after he
was found unconscious and paramedics were unable to revive him
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Assamese housewife Annandita Tamuly is watched by a crowd as she consumes Bhut Jolokia Chili Peppers in Guwahati yesterday. Spurred by a Guinness World Records nod to the local ‘ghost chili’, Tamuly, a 26-year-old mother, hopes to set a new record by eating a massive quantity of the world’s hottest pepper | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Bhut Jolokia | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
米国「ニューメキシコ州立大学ラスクルーセス校」のポール・ボスランド園芸学教授が2006年秋にギネスブックに記録を申請していた唐辛子が2007年にギネスブックから「世界一辛いトウガラシ」と認定されました。 この世界一辛いと認定された唐辛子(Bhut Jolokia)は、インド北東部アッサム地方原産の唐辛子で、スコヴィル値は、1001304です。 教授は「この唐辛子は現地の言葉で幽霊の唐辛子と言われているが、なぜこう呼ばれているのかは分からない。おそらくは食べたら死にそうなほど辛いからではないか。」とコメントしました。 |
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上は韓国産唐辛子を縦に割ったもので、赤丸の白い部分が胎座で、実の熟成と共にここにカプサイシンが蓄積されます。唐辛子の中で一番辛いのがこの胎座と呼ばれる部分で、次に皮となります。よく種を一緒に調理すると辛くなると言う方がいますが、それは誤解で、種に含まれるカプサイシンはほんの僅か、全く辛くはありません。辛いと感じるのは、胎座のカプサイシンが種の表面に付着したからです。 つまり、調理する際は種を取り除いても、胎座さえ取り除かなければ強烈な辛さに変化はありません。見た目を重視するのであれば種を取り除けば良いし、気にしないのであればそのまま使えば良いのです。 粗挽きの乾燥唐辛子には種が含まれますが、この主な理由は単なる増量目的にあると思われます。 |
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カプサイシン(capsaicin) はアルカロイドのうちカプサイシノイドと呼ばれる化合物で、唐辛子の辛味を形成する主成分で、スコヴィル値の基準物質となっています。スコルヴィル値とは唐辛子Aと唐辛子Bとの辛さを比較する際の基準となる指標で、この値が大きいと辛く、小さいと辛くない、と判定されます。 カプサイシンと言うと「辛い!」と思われる方が多いかと思われますが、実は無味無臭の物質で全く辛くはありません。「辛い」と感じるのは、皮膚感覚を司る受容体をカプサイシンが直接刺激するからで、氷や熱い湯を「痛い!」と感じるのと同じで、この器官が感知した情報を受け取った脳が「危険!」と判断し、警報を鳴らしているからです。つまり「痛い!」と感じていたのです。 脳自体には辛さを感じる器官はありませんが、胃や腸で吸収されたカプサイシンが脳へ運ばれると、内臓感覚神経に働きかけ、アドレナリンの分泌を促します。このことにより食欲が増進し、エネルギー代謝の効率が高まり、蓄積された脂肪の代謝(★ダイエット効果?)や疲労物質の分解にも役立ちます。その他に保温、殺菌、防腐等の作用もあり、これ等の特質を上手に利用した食品も数多くみられます。 ★唐辛子を食べた後に計測すると基礎代謝量が僅かながら上昇することが確認されています。しかし蓄積脂肪を燃焼させて体重を減らす程の量課とかと言うと、それ程では無いようで、医学的には唐辛子のカプサイシンで痩せることを期待するのには無理があるようです。 最近増加傾向にある生活習慣病でも、カプサイシンの効果を正しく用いれば、血流が改善し白血球の活性化を図ることが可能になり、免疫力の向上が期待できると考えられています。また更に、生活習慣病に大きく係わる「塩分」に関しても、カプサイシンを適切に利用することで、「塩分を控え目」の健康に良い食生活ができます。 塩分の過剰摂取は、より多くの水を欲することになり、肥満や糖尿には好ましくありません。しかし、カプサイシンが加わることで、減塩してもそれを感じさせない効果があったと考えられますが、唐辛子が加わったことでカプサイシンに刺激され食欲が増進、結果として総量で塩分とカプサイシンの過剰摂取になってしまう恐れが出てきました。 カプサイシンは辛み成分ではありません。人間はこれを「痛み」と感じているのです。過剰摂取は味覚障害を招く恐れがありますので要注意です。要はバランスなのです。 多くのキムチを解説したサイトでは、長所ばかりが強調され、デメリットに関しては無視する傾向があります。我田引水は大変危険です。良い部分と悪い部分をわけ隔てることなく、公平に判断し、上手に生活に取り入れて行くことが正しい選択だと言えます。 朝顔の種:牽牛子(けんごし)も少量なら良い下剤になりますが、量を間違えれば取り返しのつかない結果となってしまいます。 ※ 清国の属国であった当時の半島の交易は、中国との朝貢貿易が主なもので、日本や琉球とも交易がありました。対中国貿易の主力は、特産の朝鮮人参(オタネニンジン)、貂皮(ミンク)、海獺皮(ラッコ)、昆布、銀等で、中国からは塩、生糸、絹織物を輸入していました。三方を海に囲まれている半島でしたが、塩を輸入せざるを得なかったのは塩の生産技術が極めて低かったからだと考えられています。 |
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