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マーガリンは植物性の油(不飽和脂肪酸)だから健康に良いとお考えではありませんか。確かにマーガリンは植物由来(大豆・コーン)の油脂をその原料にはしていますが、水素添加技術により本来は液体であるものを、劣化しにくく、且つ常温でも固体化するように化学処理した「到底食品とは呼べない化学製品」です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
http://www.yunphoto.net Graphic by (c)Tomo.Yun 写真と本文は関係ありません |
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天然の植物性油脂は「シス型脂肪酸」と呼ばれ、大変に不安定で酸化しやすく、製品化すると賞味期限や風味の点で多くの問題を抱えることになります。そこで採られたのが「水素添加」という荒業です。 水素添加は油脂に水素を添加することで、油脂本来の性質を人為的にコントロールし、液体状の油を固体化したり、柔らかく伸ばせる状態にしたりと、自由自在に操ることを可能で、この技術を応用しリノール酸をオレイン酸に変換することにより、酸化しずらいポテトッチップや、カリカリの揚げ物を作ったり、バターを全く使わないケーキや、スナック菓子等が作られる様になりました。 酸化しないのですから当然賞味期限も伸び、風味の変化も抑えることができますので、何も知らない消費者には歓迎されるのは当たり前です。 ところが不飽和脂肪酸の一部に水素を添加すると、残った部分が自然界には稀にしか存在しない「トランス型脂肪酸」にその構造を変化させてしまいます。この状態の脂肪分子を電子顕微鏡で覗くと、プラスチック製品に非常に良く似た構造で、化学者はこの水素添加を「プラスチック化」すると呼んでいるそうです。 このトランス型脂肪酸は天然のシス型脂肪酸とはその性質が全く異なり、一度体内に取り込まれてしまうと、大変代謝が難しく、また健康に有害であるとされています。 |
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シス型脂肪酸(左)とトランス型脂肪酸(右) |
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いくらマーガリンが天然由来成分を基に作られていると言っても、それを化学処理したものは、家庭用合成洗剤同様に由来原料とは全く異なった性質を示すようになります。 多くの方が家庭用洗剤は石油を基に作られている「石油製品」だと勘違いしている節がありますが、確かに合成洗剤は当初石油を基に作られていた石油製品でしたが、今はその多くが天然由来成分である「椰子油」を原料としています。これはメーカーの「地球に優しい」と言う姿勢の現れでは無く、単に廉価であると言うだけのことのようです。 この椰子油を原料としている合成洗剤でも、化学的に分解、合成されることにより、全く異なった性質を有するようになり、自然界や人体に及ぼしている諸問題は今更述べるまでのことではないでしょう。 酸化防止剤や合成着色料、香味料等の多くの食品添加物を多用したマーガリンは、色も香りもバターであるかの様に装ってはいますが、その実態は化学合成品です。そしてこのマーガリンを無味無臭に加工したものが、ケーキやパンに良く使われているショートニングです。 欧米諸国では、一部のトランス型脂肪酸を含む食用油は販売禁止にされたり、トランス型脂肪酸を含まないマーガリンを「トランス・ファット・フリー」と表示したりして区別化しています。ニューヨーク市では外食産業のメニュー全てに、一食あたりのトランス型脂肪酸の量を0.5g未満に抑えるよう義務づけています。(2008年7月) 然しながら、まだまだ企業利益が優先される日本では、民意も企業理念もこのレベルには到底達しておらず、厚生労働省「第6次改訂 日本人の栄養所要量」によると「トランス脂肪酸」は、脂肪の水素添加時に生成し、また反芻胃の微生物により合成され吸収されることから、反芻動物の肉や乳脂肪中にも存在する。トランス酸の摂取量が増えると、血漿コレステロール濃度の上昇、HDL-コレステロール濃度の低下など、動脈硬化症の危険性が増加すると報告されているにも係わらず、食品安全委員会は2004年に「諸外国と比較して日本人のトランス脂肪酸の摂取量が少ない食生活からみて、トランス脂肪酸の摂取による健康への影響は小さい」と言う見解を発表しています。これは一体何なのでしょうか。 役人と消費者に問題意識と知識が乏しい日本では、常に企業利益が優先され、トランス型脂肪酸を多く含む油が大量に生産され続け、嫌でも私たちの食生活に入り込んできます。尚、プラスチック食品と呼ばれるマーガリンは全く腐らないそうです。 |
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トランス脂肪酸の一人当たりの摂取量
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牛や羊などの反芻動物の脂肪にはトランス型脂肪酸が含まれています。従って反芻動物である牛や羊の肉や乳にも含まれますので、それを基に製造される乳製品にも当然含まれることになります。牛乳、めん乳やその発酵乳、乳酸飲料、バターやチーズ、アイスクリームから粉ミルクと多岐にわたります。また、この乳製品を使用した加工品にも含まれます。 下は日本の食品に含まれる総脂肪酸中のトランス型脂肪酸の平均割合です。(日本食品油脂検査協会調べ ポテトチップスには、トランス型の脂肪酸が多いと言われていますが、数値を見る限りでは納得ゆきます。世の中、美味しいものは体に悪く、悪い行いはおうおうにして楽しいものです。 また、女性には関係ありませんが、対象を日本人に限定した厚生労働省の研究によると、乳製品を頻繁に摂取する人は、最も摂取しない人より1.5~1.6倍前立腺がんのリスクが高いそうです。 ● 乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について ―概要― |
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日本国内に流通している食品のトランス脂肪酸含有量
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日本人の平均的な摂取量では、今直ぐに問題になるような数値ではないとの食品安全委員会の見解ですが、それなら放置して良いのかと言うと、そうでは無いような気がします。全てに関して日本は危機管理に問題があるようです… ● 内閣府食品安全事務局の資料:トランス脂肪酸(PDF) |
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米国では政府策定の食事のガイドラインに、トランス型脂肪酸の危険性が記載され、できるだけ摂取しないよう呼びかけています。 Dietary Guidelines for Americans 2005 また、2006年1月1日以降には、食品の栄養成分表示にトランス型脂肪酸の含有量を明記することが義務付けられました 。米国のこの処置はトランス型脂肪酸の摂取が心臓病のリスクを高める危険があることが判明したことによるもので、飽和脂肪酸であるトランス型脂肪酸は、悪玉コレステロールのLDL値を上昇させ、善玉コレステロールのHDL値を低下させることが確認されています。総コレステロール量におけるHDLの割合低下は、冠状動脈に悪影響を与える指標マーカーとしても注目され、脳の血管に悪影響を及ぼし、アルツハイマーやパーキンソン病の原因になり得るとの研究結果もあるそうです。 下は医学雑誌に掲載された論文です。翻訳はいつもの通り翻訳サイトを使ってご自分でお願いします。 Dietary fat intake and the risk of coronary heart disease in women. BACKGROUND: The relation between dietary intake of specific types of fat, particularly trans unsaturated fat and the risk of coronary disease remains unclear. We therefore studied this relation in women enrolled in the Nurses' Health Study. METHODS: We prospectively studied 80,082 women who were 34 to 59 years of age and had no known coronary disease, stroke, cancer, hypercholesterolemia, or diabetes in 1980. Information on diet was obtained at base line and updated during follow-up by means of validated questionnaires. During 14 years of follow-up, we documented 939 cases of nonfatal myocardial infarction or death from coronary heart disease. Mutivariate analyses included age, smoking status, total energy intake, dietary cholesterol intake, percentages of energy obtained from protein and specific types of fat, and other risk factors. RESULTS: Each increase of 5 percent of energy intake from saturated fat, as compared with equivalent energy intake from carbohydrates, was associated with a 17 percent increase in the risk of coronary disease (relative risk, 1.17; 95 percent confidence interval, 0.97 to 1.41; P=0.10). As compared with equivalent energy from carbohydrates, the relative risk for a 2 percent increment in energy intake from trans unsaturated fat was 1.93 (95 percent confidence interval, 1.43 to 2.61; P<0.001); that for a 5 percent increment in energy from monounsaturated fat was 0.81 (95 percent confidence interval, 0.65 to 1.00; P=0.05); and that for a 5 percent increment in energy from polyunsaturated fat was 0.62 (95 percent confidence interval, 0.46 to 0.85; P= 0.003). Total fat intake was not signficantly related to the risk of coronary disease (for a 5 percent increase in energy from fat, the relative risk was 1.02; 95 percent confidence interval, 0.97 to 1.07; P=0.55). We estimated that the replacement of 5 percent of energy from saturated fat with energy from unsaturated fats would reduce risk by 42 percent (95 percent confidence interval, 23 to 56; P<0.001) and that the replacement of 2 percent of energy from trans fat with energy from unhydrogenated, unsaturated fats would reduce risk by 53 percent (95 percent confidence interval, 34 to 67; P<.001). CONCLUSIONS: Our findings suggest that replacing saturated and trans unsaturated fats with unhydrogenated monounsaturated and polyunsaturated fats is more effective in preventing coronary heart disease in women than reducing overall fat intake. PMID: 9366580 [PubMed - indexed for MEDLINE] ■デンマークでの規制: 2004年1月 国内のすべての食品について、製造・加工過程で生じたトランス型脂肪酸については、消費者向けに販売される最終製品に含まれる油脂100gあたり2g未満とし、1g未満の場合には「トランス脂肪酸を含まない」と表示することが可能。限度以上のトランス脂肪酸を含むものは販売禁止 。 ■カナダでの規制: 2005年12月 総脂肪、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールを表示対象とし、加工食品の栄養成分表示を義務化。トランス型脂肪酸は1食あたり 0.2g未満の場合にはOgと表示できる(米国は 0.5g)。 ■ドイツでの規制: 腸の慢性炎症疾患でクローン病とマーガリン摂取との因果関係が証明され、使用を制限(販売禁止ではない)しています。 ■マレーシアでの規制: 保健省がファーストフードの広告禁止を検討。 ■韓国(国家での対応ではありませんが…): 2007年 製菓メーカーらが相次ぎ「トランス脂肪酸ゼロ化」を宣言。 ■米国マクドナルド(国家での対応ではありませんが…): 2007年01月31日 トランス型脂肪酸を含まない新型油を確保したと表明した。 全店への導入についてはコメントを控えたが、同社広報係のWalt Riker氏は、米国全土13,700店舗のうち1,200店舗では既にこのオイルを使用していると述べた。 ファーストフードのトランス脂肪酸:NGO熱帯薬用植物研究会 Research Association of Tropical Medicinal Plants 公式サイト |
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1870年、スペイン王位継承権についてプロイセン(後のドイツ帝国)と争った 普仏戦争で、フランス皇帝ナポレオン3世は、生活必需品のバター欠乏に対し、代用品を懸賞募集しました。これに応募して採用されたのが、フランス人メージュ・ムーリエ・イポリットの考案した「margarine」で、牛脂軟質油75%、オリーブ油5%、牛乳20%、乳房からの抽出物少量とされていますが詳細と味は解りませんが、なにより気になるのが「乳房からの抽出物」… 開発当初のマーガリンは、現在の化学工場の生産品とは異なり、コレステロールの過剰摂取を除いては、健康にそれほど悪くは無かったような気がします。 日本では明治の中頃に輸入され、日本在住の欧米人に提供されました。それが軍隊向けに注目されるようになり、山口八十八(帝国臓器製薬株式会社創業者)や千足栄蔵といった研究者が、「人造バター」なるものを1907年に開発し、生産されるようになりました。 |
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2010年4月12日21時13分 http://www.asahi.com/national/update/0412/TKY201004120244.html 食品安全委員会は12日、心臓病との関連が指摘されているトランス脂肪酸について、健康への影響を評価するための審議を始めた。 トランス脂肪酸は植物油を加工する際に生じる物質で、その油を使ったビスケットやフライドポテトなどに含まれる。たくさんとると、血中の悪玉(LDL)コレステロールが増え、心筋梗塞(こうそく)などのリスクが上がるとされる。世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は、1日にとる総カロリーの1%未満に抑えるよう勧めている。 食品安全委は、日本人の摂取量を1日平均0.7~1.3グラム(総カロリーの0.3~0.6%)と試算していたが、菓子やファストフードをよく食べる人では、より多くとっている可能性も指摘されていた。世代、性別ごとの食生活を調べたうえで、トランス脂肪酸の摂取状況を分析し、摂取量による健康への影響を評価する。評価がまとまるのは来年以降の見込み。 |
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2010年3月23日15時2分 http://www.asahi.com/health/news/TKY201003230219.html 朝日新聞 マーガリンやショートニングといった油脂に含まれ、心臓病との関係が指摘されるトランス脂肪酸の摂取量を探る日本で初めての本格調査の結果がまとまった。 世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)がすすめる「1日にとる総カロリーの1%未満」という目安を超えて摂取していた人が、30~40代の女性で3割を超えた。 疑われるのは「お菓子」だ。 トランス脂肪酸は植物油を加工した油や、それを使ったビスケットやケーキ、ファストフードなどに含まれる。たくさんとると血中の悪玉(LDL)コレステロールを増やし、善玉(HDL)コレステロールを減らして、心筋梗塞(こうそく)のリスクが上がるとされる。 |
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東京大など8大学のグループが調べた526の食品ごとに、含まれるトランス脂肪酸の量を国内外のデータを使って検討したほか、国内4地域に住む30~60代の男女225人に、季節ごとに4日間ずつ計16日間、食事の内容を詳しく記録してもらい、摂取量を算出した。 1日の平均摂取量は男女とも1.7グラム、総カロリーに占める割合はそれぞれ0.7%、0.8%。WHOなどの推奨の範囲内に収まった。30代の女性では2.1グラム(総カロリーの1%)、40代女性で1.9グラム(同0.9%)。だが、両世代の女性の中に、1%以上の人がそれぞれ33%、38%いた。 女性全体では、トランス脂肪酸のもとになった食べもののうち、お菓子類が22%を占めた。男性は15%。お菓子をたくさん食べる女性の習慣が、トランス脂肪酸を多く摂取することにつながった可能性がある。 トランス脂肪酸の多い食品は、LDLコレステロールを増やす飽和脂肪酸も多かったり、高カロリーだったりする例が少なくない。調査の中心だった佐々木敏・東大教授(予防医学)は「トランス脂肪酸だけをなくそうとするより、食生活全体の見直しを考えた方がいい」と話す。(田村建二) |
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Traditional Japanese colors |
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