食の雑学 その20
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01 キムチの起源
02 ニンニクの原産地と語源
03 唐辛子伝来の歴史
04 ショウガとウコン
05 稲の原産地と日本
06 焼きたてパン信仰
07 エゴマはゴマではありません
08 マーガリンに潜む危険性
09 箸の文化は日本の文化です
10 焼き肉文化と韓国の肉食の歴史
11 日本の食文化・刺身の起源と歴史
12 韓国の冷麺スープを考える
13 ジャガイモと馬鈴薯・日本への伝来
14 メンマの由来と味付けメンマの起源
15 なぜ宵越しのお茶は体に悪いのか
16 お粥は消化吸収が良くありません
17 ごぼう(牛蒡)にアクはありません
18 蕎麦の原産地と日本への伝来
19 もつ鍋のコラーゲンに美容効果はない
20 砂糖の伝来
21  ドングリは食用になるのか
22 サツマイモの伝来とアグー豚
23 蒟蒻(こんにゃく)の伝来
食の雑学・補足
 補 足
01 キムチの賞味期限
02 キムチと乳酸発酵
03 唐辛子日本伝来説に異論
03 馬鈴薯とジャガイモは別物!
04 パンとご飯 どちらが痩せる?
05 辛いものは脳に悪いか
06 キムチは日本起源?
07 中国がキムチの起源を主張
08 世界の食用油 食用油の種類
09 冷麺は寒い冬の食べ物だった
10 日本の割り箸の種類
11 日本の肉食禁止の歴史
鑑真和尚
日本の伝統の色
Traditional Japanese colors 
 
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砂糖の伝来
サトウキビの原産地は現在のニューギニア周辺の島々だとされ、当地の伝説には『…若い漁師の網に一節のサトウキビがかかり、それを持ち帰って植えると、みるみる大きくなり、茎の中から美しい娘が出てきました。漁師はその娘と結婚し、沢山の子供が生まれ、その家族が人類の祖先となった…』とあります。原産のサトウキビは海洋民族の手により周辺地域へと伝わって行ったのでしょう。今でもこの周辺の島々には過去に大海原を航海した祖先の証拠が多く残されています。
一方、砂糖はインドが起源だとされ、英語名 Sugar は、サンスクリット語の Sarkara(砂粒の意味)が語源だとも云われ、それがインドで最初に作られたとする根拠となっています。ニューギニア原産のサトウキビが、いつ頃インドに伝わったかは、定かではありませんが、紀元前の古い仏典に砂糖(薬品として)に関する記述があるそうなので、かなり時代を遡ることは確かです。
サトウキビ
日本への伝来は、唐の高僧「鑑真」が天平勝宝6年(西暦754年)に伝えたとされる説と、遣唐使が持ち帰ったとの説があります。延暦24年(西暦805年)の「最澄」帰朝の際の大仏への「献物目録」の中にも献上品として砂糖の記述が見えます。
また、正倉院に保管されている「種々薬帖」にも「蔗糖」という記載があり、「薬帖」と言う名からも判る通り、当初は薬品として用いられ、大変貴重な品だったようです。当時の甘味料と言えばアマズラ(甘葛)や、米を原料とした飴、蜂蜜等が主でした。砂糖が甘味料として用いられるようになるには、鎌倉時代から室町時代にかけての大陸貿易が盛んになる時代まで待たねばなりません。
室町幕府の八代将軍「足利義政」が長禄3年(西暦1459年)禅僧に砂糖羊羹を振る舞ったとの記録があるので、庶民には高嶺の花であっても、武家社会では徐々に流通が始まっていたと見るべきでしょう。
16世紀の初めには南蛮貿易を通じて砂糖がもたらされ、16世紀の終わり頃にはかなりの量が輸入されるようになっています。とは言え、この恩恵は地方の庶民にまではまだまだ届かなかったようです。
出島
慶長13年(西暦1608年)、関が原の戦いに敗れた島津氏が、幕府に砂糖二千斤(約1300kg)を献上したとの記録があり、慶長15年(西暦1610年)にはサトウキビの栽培が奄美大島で始まり、福建省から甘ショ糖の製法が伝わっています。そして元和9年(西暦1623年)には琉球へと伝えられ、今でも黒砂糖は沖縄の主要産業の一つです。
この当時のオランダ商館の資料によると、寛永18年(西暦1641年)~寛文10年(西暦1670年) にかけ年間138t、明暦2年(西暦1656年)には1140tも輸入しています。当時の英国でさえ80トンだった輸入量から考えると如何に日本の輸入量が多かったかが判ります。この時、海外に流れた金銀は莫大な量だったと考えられます。
鎖国当時長崎経由で輸入された砂糖は、中国やオランダの商人が中国南部東南アジアで廉価で仕入れ、これを日本に持ち込み、高値で売って巨利を得ていたようで、彼らには日本人がバカに映ったことでしょう。
東南アジア一帯の地図
このサトウキビで作る甘ショ糖の製法は、慶長14年(西暦1610年)には中国福建省から奄美大島へと伝わり、元和9年(西暦1623年)には琉球へと伝えられています。今でも製糖は沖縄の主要な産業の一つです。
鎖国により地方諸藩が砂糖を専売化したり、業者による買占めが行われ、砂糖はかなり割高にはなりますが、需要が有れば供給は活性化され、生産は徐々に拡大され、幕末の頃には国産糖が輸入糖を凌駕するまでに至っています。
ところが、開国を迎えるとこの状況は一変します。安価で品質の優れた砂糖が大量に流入した為に、国内の生産業者は大打撃を受け、奄美、沖縄の黒砂糖を残し、国内の製糖業は1900年頃までにはほぼ消滅しています。
砂糖大根
さとう大根
砂糖は化学的には「ショ糖」と呼ばれ、サトウキビから採れるものを甘ショ糖、テン菜(砂糖大根)からのものをテンサイ糖、サトウカエデは「カエデ糖」とそれぞれ呼ばれていますが、現在工業的に作られているのは、主にサトウキビとテン菜を原料としたものです。
サトウキビは茎の部分を砕いて絞り、砂糖大根は根塊を絞って、それぞれ糖分を原料から取り出します。不純物を取り除いた後、それを煮込んで液糖を作ります。この「原料糖」を精製して不純物を取り除き結晶化したものが砂糖です。面白いもので、サトウキビは温暖な地に育ち、テン菜(砂糖大根)は高い緯度の地に育ちます。
世界の砂糖生産量



1 ブラジル 24,780,000 41 ドミニカ共和国 480,000 82 ルーマニア 73,000



2 インド 22,140,000 42 エルサルバドル 465,000 83 ラトビア 72,000



3 中国 11,112,000 43 スウェーデン 452,000 84 コンゴ民主共和国 69,000



4 アメリカ合衆国 8,118,000 44 ボリビア 434,000 85 トリニダード・トバゴ 67,000



5 タイ 6,631,000 45 オーストリア 418,000 86 ポルトガル 56,000



6 タイ 6,631,000 46 ニカラグア 413,000 87 マダガスカル 54,000



6 オーストラリア 5,371,000 47 チリ 395,000 88 パプアニューギニア 53,000



7 7 メキシコ 5,240,000 48 コスタリカ 358,000 89 コンゴ共和国 44,000



8 フランス 4,282,000 49 フィジー 332.000 90 カザフスタン 43,000



9 ドイツ 4,158,000 50 ホンジュラス 323,000 91 ブルキナファソ 40,000



10 パキスタン 4,004,000 51 ガイアナ 317,000 92 スリランカ 39,000



11 南アフリカ 2,626,000 52 エチオピア 294,000 93 バルバドス 36,000



12 コロンビア 2,574,000 53 マラウイ 283,000 94 モザンビーク 35,000



13 フィリピン 2,237,000 54 ハンガリー 278,000 95 トルクメニスタン 35,000



14 キューバ 2,205,000 55 ベラルーシ 276,000 96 アンゴラ 32,000



15 ロシア連邦 2,011,000 56 ザンビア 232,000 97 チャド 32,000



16 グアテマラ 1,987,000 57 アイルランド 224,000 98 マリ 32,000



17 インドネシア 1,910,000 58 ギリシャ 223,000 99 ナイジェリア 32,000



18 ポーランド 1,899,000 59 セルビア 223,000 100 ギニア 25,000



19 トルコ 1,875,000 60 ジャマイカ 197,00 101 ブルンジ 22,000



20 アルゼンチン 1,800,000 61 バングラデシュ 193,000 102 ニジェール 22,000



21 ウクライナ 1,576,000 62 スイス 185,000 103 スロベニア 22,000



22 エジプト 1,500,000 63 ウガンダ 180,000 104 セントキッツ 22,000



23 イギリス 1,400,000 64 コートジボワール 177,000 105 ソマリア 20,000



24 オランダ 1,174,000 65 パラグアイ 170,000 106 ガボン 19,000



25 ベトナム 1,150,000 66 パナマ 165,000 107 中央アフリカ 12,000



26 イラン 1,100,000 67 タンザニア 163,000 108 スリナム 10,000



27 スペイン 994,000 68 スロバキア 159,000 109 カンボジア 9,000



28 イタリア 978,000 69 クロアチア 157,000 110 ルワンダ 7,000



29 ペルー 940,000 70 フィンランド 136,000 111 ベナン 6,000



30 日本 870,000 71 リトアニア 132,000 112 ハイチ 6,000



31 スーダン 804,000 72 シリア 110,000 113 ウルグアイ 6,000



32 チェコ 565,000 73 ベリーズ 104,000 114 リベリア 4,000



33 ジンバブエ 554,000 74 カメルーン 101,000 115 マケドニア 4,000



34 モーリシャス 537,00 75 カナダ 96,000 116 ブルガリア 3,000



35 デンマーク 535,000 76 ネパール 93,000 117 アルバニア 3,000



36 スワジランド 520,000 77 ネパール 93,000 118 イラク 2,000



37 モロッコ 515,000 78 モルドバ 90,000 119 シエラレオネ 2,000



38 ベネズエラ 500,000 79 ミャンマー 88,000 120 グルジア 2,000



39 ケニア 495,000 80 マレーシア 87,000 121 セントビンセント 2,000



40 エクアドル 486,000 81 キルギス 82,000 122 アフガニスタン 1,000



単位はトン(アップロード時点でのデータですのでご注意ください)
砂糖は太らない!?
スプーン印のCM

5大栄養素(炭水化物・脂質・蛋白質・ビタミン・ミネラル)の中でカロリーがあるのは、炭水化物、脂質、タンパク質だけです。つまり、食品を摂取した時の総カロリーは、その食品に含まれる炭水化物+脂質+タンパク質から簡単に計算できます。実際には調理段階で油が加わる場合もあるし、抜けることも考えられ、必ずしも計算通りにはゆきません。
摂取カロリーの計算基準は「全ての人に等しく同じ割合で吸収される」ことを前提条件としていますので、そのことには充分に留意して数字を読む解く必用があります。
人にはそれぞれの個体差があり、摂取した栄養素を効率よく体内に取り込める人もいれば、その逆の人もいます。また吸収されたとしても、体内でそれを効率良く使える人もいれば、そうでない人もいます。千差万別、人夫々で、万人に適用できる基準などありません。あくまでも大まかな基準と捉えていた方が良いでしょう。しかし、肥りたくないと考える人にとって摂取総カロリー数は重要です。
肥るには様々な複合した原因が考えられます。しかし、肥っている人に共通して言えるのは、①摂取カロリーが消費カロリーを上回っている。②運動不足と不規則な生活により基礎代謝が著しく劣っている。③就寝の直前まで何かを口にしている。等が関係していると思われます。過度のストレス(食べることに逃避するという意味で)も当然これに含まれるものと思われます。
単にカロリーを減らせば痩せられると安易に考える人は多いのですが、実際にはそう簡単にはゆきません。摂取カロリーを減らせば自然と体重は落ちてゆきますが、あるところまで行くと減り続けていた体重が急に減らなくなります。これはホメオスタシスと云われる現象で、摂取カロリーが減り生命の維持に問題が発生すると、己が命を維持する為に少ないカロリーでも生き抜けるよう、エコモードに移行してしまうからだと考えられています。
こうなると簡単に体重を減らなくなります。ダイエットを目指す人はここで大きな壁に行く手を阻まれてしまうことになります。諦めてダイエット前の食生活に戻ると、今度は一気に体重が増えます。所謂「リバウンド」と云われる現象です。日照り続きの地面に浸み込む雨水を考えれば、このことは良く理解できます。ダイエットで飢えた細胞もこれと全く同じで、摂取した栄養を全て取り込もうとします。結果、元の木阿弥で、急激に肥ってしまいます。
またダイエットは食品の摂取量が減るので、必用なビタミンやミネラル等の栄養素が摂れなくなる危険もあります。飢餓ダイエットの危険に潜む落とし穴です。ダイエットには総摂取カロリーを控えつつ、基本的な栄養素は充分に摂り、且つ基礎代謝能力が充分に働くように生活習慣を変えてゆく努力が必用となります。飴玉一つのカロリーが1時間の家事労働の消費カロリーに匹敵することを肝に銘じておきましょう。
 是非コチラも参照して下さい→ パンとご飯とどちらがダイエットに向いているか(食の雑学 補足04) 
上白糖 グラニュ糖 三温糖 中ザラ糖 白ザラ糖 ホワイトファインシュガー かしこいかあさんの三温糖
さとうきび一番糖 本きび赤糖 やんばる糖 粉末やんばる糖 沖縄の恵み糖。 沖縄黒砂糖 沖縄粉末砂糖
ティータイムメイト 8g ティータイムメイト 6g ティータイムメイト 5g ティータイムメイト 4g ティータイムメイト 3g ティータイムメイト 2g グラニュ糖
グラニュ糖 紙袋 すこしですむさとう カロリーゼロ グラニュ糖 l06_kinouseikanmi04.jpg レモンシュガー ロザッティ 400g
ロザッティ 6g 氷砂糖 ロック 氷砂糖 クリスタル 粉砂糖 シュガーバーニーズ粉砂糖 シロップ 20P 上白糖
粉砂糖 ティータイムメイト 3g マスコット 紙6g ロザッティ
スプーン印の砂糖 こんなにイロイロあったとは知りませんでした
と言うことで、やっと「砂糖は太らない!?」の本題に入りたいと思います。結論から言うとカロリーがある砂糖は摂り過ぎればダイエットの妨げとなります。つまり、肥る(太る)と言うことです。
先日、某TV局の番組で「砂糖は太らない」との内容を医師を招いて放送していました。この手の番組を見るといつも感じることは、局側のミスリードと言うか、番組にとって都合の良い内容にする為の意図的な情報操作が随所に見られます。昨年のインフルエンザの時のドタバタを思いだして下さい。各局で「うがいと手洗いの奨励」を朝から晩まで流し続けていたことは、まだ記憶に新しい筈です。この時、「うがいと手洗い」に関しては、緊急警告として「インフルエンザは細菌ではありません うがいは効果なし!」との内容で書かせて頂きました。
砂糖に関しても「太る」では確かに番組は成り立ちません。「太らない」だから視聴率を稼げるのだとは思います。しかしそれは公共性の強い電波に乗せて良いものなのでしょうか。これは言論の自由とは少し意味合いが違います。
番組では、砂糖(384kcal/100g)のスプーン一杯のカロリーはご飯(168kcal/100g)大匙一杯弱なので「太らない」としています。出席した医師のコメントでは「糖質は蓄積する量に限りがあり、脂質は無制限に蓄積する」との内容でした。果たしてそうなのでしょうか。
摂取した砂糖(正しくは糖質)は腸の粘膜細胞に存在するスクラーゼの働きにより果糖とブドウ糖に分解されて腸粘膜から吸収されます。吸収されたブドウ糖は血液を介し肝臓に運ばれ、ここでグリコーゲンに姿を変え肝臓や筋肉に蓄えられます。そして糖質の過剰な摂取が続けば、肝臓は一旦蓄えた糖を今度は脂肪に変えて脂肪組織へと蓄え直します。つまり糖質の過剰摂取は確実に脂肪を増やす働きをします。
活動に必要なエネルギー源は、最初は食事よって得られる糖質が使われますが、これは凡そ4時間程度までで、その後は肝臓に運ばれ蓄えられたグリコーゲンを再度ブドウ糖に戻してエネルギーとして供給します。
糖質は澱粉質とほぼ同カロリーで、特に肥満に繋がるとも言えませんが、糖質の過剰摂取は要注意の最右翼であることは言うまでもありません。

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