食の雑学 その14 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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メンマの材料になる麻竹は、20~30メートルもの高さに成長するイネ科の植物で、原産地は南アジアのミャンマー辺りだと云われています。葉が大変大きく重く、幹から直角に出た枝が、その重さに耐えられず垂れ下がるのが一つの特徴です。 メンマはこの麻竹(マチク)を煮てから乳酸発酵させた中国の加工食品で、日本では主にラーメンの具材として用いられますが、最近は味付けし酒の肴や各種の惣菜としても利用されるようになっています。昔はシナチク(支那竹)と呼ばれていましたが、現在では一部の世代を除き、死語と言っても過言ではありません。現地で「乾筍」と呼ばれ、かつては100%台湾産でしたが、農家の衰退により生産が減少し、現在では95%が大陸(主に広東省)からの輸入に依存しています。 |
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面白いことに、メンマの故郷である中国(台湾省嘉義市の周辺)では、麺にチャーシューやシナチクを乗せる習慣はありませんでした。戦後間もない頃、横浜の中華街を視察した故松村秋水氏(当時台湾在住・丸松物産会長・2007年05月16日没)は、麺にシナチクが乗せてあるのを見て、その使い方に大変感心したそうです。面白いことにシナチクの故郷である中国(台湾省嘉義市の周辺)では麺に具を乗せて習慣がなく、当然シナチクも麺に乗ることがありませんでした。松村氏にとってこの麺に乗ったシナチクはさぞかし新鮮な驚きだったのでしょう。 松村氏は日本に帰国すると、本格的に日本でのシナチク販売を始めます。この時、麺に入れる麻竹(マチク)なので「メンマ」と名付けましたが、当時似た名前の整髪料(調べたのですが不明でした)があったため商標登録が出来なかったそうですが、これが日本で「シナチク」が「メンマ」になった起源です。 この呼称が広まり始めたのは、昭和も40年代半ばに入ってからで、私の友人のメンマ屋(現新高物産社長)の息子が盛んに「シナチク」ではなく「メンマ」だと強調していたことを今でもハッキリ覚えています。この友人は中国人なので「シナ」と付く呼び名に抵抗があったのでしょう。 当時は殆どの人が「シナチク」と呼び「メンマ」と呼ぶ人は皆無だったと記憶しています。まだまだ「支那そば」と書いた暖簾をかかげるところも多く残されていた時代です。 1953年5月に今の(株)大門の前身である大門食品創業者の南郷龍男氏が、最初の味付メンマの「しなたけピリ辛中華味」を開発しています。間違いなくこれが味付けメンマの起源ですが、メンマが知名度を上げたのは、紛れもなく1968年に桃屋から発売された「味付けメンマ」だったことは確かです。 |
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竹の道管 http://kagaku.info/prepared9909/vixen/vixen06.htm |
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竹と笹の見分け方は簡単で、タケ科タケ類の竹は、筍の時代は皮冠りですが、成長後にはその皮が剥がれ落ちます。一方 ササ類の笹は、成長後も皮が着いたままです。七夕飾りをした経験のある人はこの違いが理解できる筈です。
また、メンマの麻竹はバンブー類で、竹や笹のように 地下茎を形成せず株立ちします。 更に、このバンブー類と竹との大きな相違点は、その道管にあります。バンブーローッド(下の写真)なる西洋の釣竿があります。主にフライフィッシング等に使われる高価な竿で、バンブーを6角形に貼り合わせて作られています。これは欧州に竹がなく、バンブーでは充分な反発力とネバリが得られないからです。 |
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http://blog.silkywood.com/?eid=893858 |
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竹の断面をご覧になれば解るとおり、竹の道管は外側が細く、内側に行くに従って太くなります。これが強靭でしなやかなネバリと、独特の反発力を生み出しています。しかしながら、バンブーにはこの差がなく、外側も内側も道管が等しく、釣竿の求める強靭なネバリが得られません。よってバンブーロッドは、貼り合わせることでこれを回避しようと試みた訳です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
写真は笹 |
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日本各地、どこへ行っても竹林を見かけますが、遠い昔からこれ程多くの竹林があったわけではありません。これは西洋での釣り竿需要が高まり、農家の副業として竹の生産が始まった時代からです。その後、釣り竿はグラスロッドへ移行し、竹の需要は激変し、カーボンロッドの登場とともに完全に衰退した産業になり、竹林は徐々に姿を消しています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
http://www.thepeaceofbamboo.com.au/photos.html THE PEACE OF BAMBOO |
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▲麻竹(マチク)の筍は大きな子供ほどの大きさもあり、その皮は中国名産の粽(ちまき)に使われます。
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「支那」は「中国」の蔑称であると力説する人も多いようですが、それは大きな誤りです。「支那」には蔑称の要素は全く存在しません。
もともとは、中国語の「秦」が梵語(サンスクリット語)に音訳されて印度に移入され、それが仏典と共に中国に伝来した時に、中国人自らが「支那」の字(音)を当てたのです。 つまり「支那」は中国人自らが創り出した正真正銘の中国語です。ここに中国を差別する意図や要素は全く含まれません。 しかしながら、日中戦争当時、「支那人!支那人!」と蔑まれ、馬鹿にされ、差別されてきた歴史的事実からすると、中国の人々が「支那」と言う呼称を極端に嫌う理由も理解できます。フィリピン等でも問題になったことがあった、日本人観光客が歌う軍歌と同じで、その軍歌の下で蹂躙された過去を思い出し腹が立つそうです。 某国が行う「きのこ雲」のショーが日本人にとって不愉快なのと同じ理屈です。よって、「支那」は正真正銘の中国語であっても、その呼称を安易に使用することは控えるべきだと考えます。 また、日本では古くから中国を王朝名で呼ぶ慣わしがあり、今でもその時代時代の王朝の名(例:秦・唐・清等)が使われるのが普通です。日本人にとっての「支那」は、彼の地に持つイメージのようなもので、それは特定の民族とは関係なく、地域全般、つまり、そこにある(またはかつてあった・存在した)民族、言語、歴史、文化、思想等を表していると思います。つまり「支那」は国名ではない訳で、中国人は自分たちの国を昔から「中華」や「中国」と呼びます。 |
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因みに、広辞苑(第五版)には、「ちゅうか【中華】:漢民族が周囲の文化的におくれた各民族(東夷・西戎・南蛮・北狄等)に対して、自らを世界の中央に位置する文化国家であるという意識をもって呼んだ自称。」とありますし、日本初の近代的国語辞典とされる明治22年(1889年)年発行の「言海」では、「ちゆう-くわ (名) 中華 (一)四方ノ夷狄ニ對シテ、中央ノ開ケタル國。中夏。中國。(二)支那人ノ自國ヲ自稱スル語。」とあります。 そこからも判る通り、「中華」は中国人が自らの国を呼ぶ呼び名で、少なからず差別的な意味合い(中華思想?)と由来をその語源に持つことも判ります。人は皆「自分勝手」なものなのです… 参考までに、今でも東シナ海・インドシナ・シナチク等と「シナ」は相変わらず使われることが多く、コットンパンツのチノパンも当たり前に使われる言葉で、チノパンの語源は、第1次世界大戦期にフィリピン駐屯の米軍が軍服地として中国からチノ布地を買い付けたことに始まるとされ、チノとはその調達地の中国を意味するスペイン語だそうです。 また、中国学(かつては支那学と呼ばれていました)は英語で Sinology と呼ばれ、日清戦争や日中戦争は Sino-Japanese War と呼ばれます。 「支那」に差別的な意味合いは全くありません。敗戦(第二次世界大)後、妙に自虐的になってしまった日本ですが、誤解されていることには、ハッキリとそのような意図ではなかったことを述べる(いい訳ではなく)べきです。但し、相手の感情も考えながらですが… |
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Traditional Japanese colors |
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