食の雑学 その 21
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食の雑学 
 食の雑学 
01 キムチの起源
02 ニンニクの原産地と語源
03 唐辛子伝来の歴史
04 ショウガとウコン
05 稲の原産地と日本
06 焼きたてパン信仰
07 エゴマはゴマではありません
08 マーガリンに潜む危険性
09 箸の文化は日本の文化です
10 焼き肉文化と韓国の肉食の歴史
11 日本の食文化・刺身の起源と歴史
12 韓国の冷麺スープを考える
13 ジャガイモと馬鈴薯・日本への伝来
14 メンマの由来と味付けメンマの起源
15 なぜ宵越しのお茶は体に悪いのか
16 お粥は消化吸収が良くありません
17 ごぼう(牛蒡)にアクはありません
18 蕎麦の原産地と日本への伝来
19 もつ鍋のコラーゲンに美容効果はない
20 砂糖の伝来
21  ドングリは食用になるのか
22 サツマイモの伝来とアグー豚
23 蒟蒻(こんにゃく)の伝来
食の雑学・補足
 補 足
01 キムチの賞味期限
02 キムチと乳酸発酵
03 唐辛子日本伝来説に異論
03 馬鈴薯とジャガイモは別物!
04 パンとご飯 どちらが痩せる?
05 辛いものは脳に悪いか
06 キムチは日本起源?
07 中国がキムチの起源を主張
08 世界の食用油 食用油の種類
09 冷麺は寒い冬の食べ物だった
10 日本の割り箸の種類
11 日本の肉食禁止の歴史
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ドングリは食用になるのか
団栗(ドングリ)は、ブナ科の植物である小楢(コナラ)、水楢(ミズナラ)、橡(クヌギ)、柏(カシワ)、粗樫(アラカシ)、白樫(シラカシ)等の果実の総称です。特にクヌギを指してドングリと呼ぶ場合が多く、同じブナ科である栗(クリ)はドングリとは呼ばれません。
ドングリに使われる漢字の「団栗」は、「団」の字がもともと「まるい・まるくまとまる」等の意味があるところから、円い栗なので「団栗」が当てられたようです。
果実の形状は円いものから細長いものまで様々あり、橡(クヌギ)、棈(アベマキ)、柏(カシワ)は球形、白樫(シラカシ)広楕円形、水楢(ミズナラ)は卵状楕円形、粗樫(アラカシ)、姥目樫(ウバメガシ)は楕円形、小楢(コナラ)、馬刀葉椎・全手葉椎(マテバシイ)は長楕円形をしています。
栄養成分も種類によって多少の違いがありますが、蛋白質と脂質が豊富に含まれ栄養価が高いことは共通です。下はドングリ100g中の栄養価を表にしたものです。
種 類 Kcal 水分% 蛋白質 脂 質 食物繊維 灰 分 糖 質 タンニン
シラカシ 236.0 40.7 1.8 2.0 1.1 1.7 52.7 4.5
アラカシ 235.0 41.1 1.8 1.9 0.9 1.6 52.7 4.4
マテバシイ 236.0 39.9 2.5 0.7 0.9 1.2 54.8 0.5
スダジイ 249.0 36.6 2.3 0.5 0.7 1.0 58.9 0.1
イチイガシ 252.0 37.6 1.6 2.1 0.8 1.2 56.7 1.2
コナラ 281.0 28.1 2.9 1.7 1.2 1.9 64.2 4.8
ミズナラ 287.0 26.2 4.6 1.1 1.4 2.1 64.6 6.7
クヌギ 202.0 49.3 2.1 1.9 1.2 1.3 44.2 1.3

ドングリの渋みの正体
ドングリと落葉
日本では縄文の時代からドングリを食料としてきた歴史があります。今でも一部地域ではドングリを使った食品が生産されています。長崎県では馬刀葉椎(マテバジイ)で焼酎が造られ、鳥取県でも焼酎が造られています。高知県の樫(カシ)豆腐や、宮崎県の樫蒟蒻(コンニャク)等は、その作り方から明らかに韓国から伝わった「トトリムッ」が原形だと判りますが、今やその地方の伝統食になっています。岩手県では餡にドングリを使った「しだみ(ドングリの意)団子」が有名ですし、長野県では代用コーヒーが作られています。どれも大した生産量ではありませんが、町興しの一環として行われているようで、新たなメニュー開発を積極的に行っている地方も増えています。また、ドングリを使ったアイスクリームは結構方々で作られているようです。今では食べた経験がある人さえ稀になったドングリですが、戦中戦後の食糧難の一時期には代用食として利用された記録があります。
大変栄養価の高いものですが、強い渋みがあり、それが食品としての利用を妨げているようです。この「渋み」はタンニンによるもので、タンニンは加水分解で多価フェノールを生じる収斂性のある植物成分の総称で、狩猟民族には馴染みのあるもので、昔も今も動物の皮をなめす為に利用しています。一方、農耕民族である日本人には「皮なめし」は余り馴染み(一部では利用されていた)が無く、もっぱら食料として利用してきた経緯があります。
日本人はドングリを食料として利用する際、食用に障害となる「渋み」に関しては問題にしなかったようです。それは面倒であっても「アク抜き」さえすれば食べられたからです。
ところが海外でのドングリに対する評価は少し違うようで、主に西洋ではタンニンは「消化器の損傷や蛋白質の吸収を阻害する作用がある」とのことで「毒」だとの認識が強く、食料に供することには抵抗があるようです。しかし、西洋も日本同様に古くから食用としてきた長い歴史があり、今でもドングリを使ったリキュールやコーヒー(代用コーヒー)もありますので、必ずしも食品としての利用価値が下がった訳ではないようです。
海外のドングリを使った食品では、スペインのリキュール「リコール・デ・ベリョータ」や、フランスの有機栽培認定機関”ECOCERT”で認定されたいるオーガニック穀物コーヒー等が有名です。「リコール・デ・ベリョータ」は一般的に飲まれるメジャーなもののようです。また、直接ドングリを食べる訳ではありませんが、ドングリを食べて育つイベリコ豚は、その肉質の良さから世界中の食通から高い評価を得ています。
リコール・デ・ベリョータ
タンニンに関してのある実験では、野ネズミの一種「赤ネズミ」を二つのグループに分け、タンニンを含む餌と含まない餌とで飼育すると、タンニンを含む餌で飼育したグループには必ず死ぬ個体が出ることが報告されています。しかし、徐々にタンニンの量を増やす実験飼育では死ぬ個体は出ないそうです。タンニンで死ぬ個体が増えるようでは、とっくに絶滅していても何ら不思議ではありませんし、他のものを食料とするように進化して当然の筈です。
毒となるものを食料として摂らざるを得ない生物は、得てしてその毒を帳消しにする酵素のようなものを体内に持つものが多く、毒虫や毒蛇も自分の毒で死ぬことはありません。コアラにしても通常では有毒なユーカリの葉を常食としています。森の小動物はタンニンの毒を和らげる為に、タンニン結合性唾液蛋白質と呼ばれるものを持ちます。この蛋白質はタンニンと結び付くことでタンニンの毒性を抑制する働きをします。通常時はそう多く分泌されるものではありませんが、必要に応じて増えたり、減ったりします。またタンニンを分解する酵素を出す腸内細菌もいるようです。
コナラのドングリ(9000個)を調査したある研究結果では、タンニンの含有量が0.1~3.1%と大きな開きあったことが報告されています。これは大変面白い結果で、タンニンを含まないドングリであれば、ネズミの格好の餌となり、コナラは子孫繁栄を諦めたも同然で、タンニンを多く含むドングリだけでは、地中に運ばれる機会が失われ、やはり子孫繁栄に悪影響を及ぼすと言うドングリのジレンマが見えてきます。自然界の摂理とは全くもって不思議としか言いようがありません。
●イベリコ豚:主にイベリア半島の中央部から南部、スペイン西部からポルトガル東部にかけて飼育される黒豚の品種名で、通常の豚の数倍の期間をかけ、3段階に分けて飼育する特殊な方法で知られています。モンタネーラ(montanera)と呼ばれる放牧期間中(10~2,3月)は、放牧地のドングリや牧草、植物の根等を食べて育ちます。さらりとして甘味がある融点の低い芳醇な脂身が身上で、ドングリ由来のオレイン酸をその脂身に多く含むことが特徴です。
野ねずみ
佐賀県のとある会(団体?)が町興しと無駄な資源の有効活用を目指し、樫の木のドングリでエタノール生産を計画し、県知事に協力を要請したことがありました。ドングリの種子はその56%が炭水化物で、県の工業技術センターによると、そこから12%のアルコール発酵が得られ、焼酎の生産では米麦を混ぜることにより発酵が13%ほどになったそうです。思いつきとしては素晴らしいのですが、何故ドングリなのかと言うと、今ではイノシシしか食べず、ただ土に帰っていくだけでは勿体無いがその理由となっています。さてさてこれはどうでしょうか。
この要請に対し知事は、車の燃料として考えた場合は、ドングリが大量に必要になる。イノシシの餌になっているのであれば、ドングリの減少が農産物の食害増加に繋がる危険はないのか。また森の樹木の更新や、目に見えない小さな生き物たちの生態系への影響も懸念されなければならないし、コスト対効果についても語っています。的確で妥当な答えだと思います。
熊や猪は肉食獣だと勘違いしている御仁も多いが、実は雑食で主な食料は木の実なのです。この木の実が無くなれば人里へ下り、農作物を漁るのは生きてゆく為には致し方ないことなのです。それでは熊や猪の餌となる木の実が減少した理由は何処にあるのでしょうか。ここ数年の夏の異常とも言える暑さか原因となっているのでしょうか。
ドングリは非常に栄養価が高く、ネズミやリス等の小動物から、熊や猪等の大型獣までが命の糧としています。この素晴らしい森の恵みをもたらす木々は、森に生きる動物(特に小動物)の命を巧みにコントロールしていることが最近の研究結果から判ってきました。種子散布器官を持たないドングリは、主に重力散布のみに頼ってきたものと思われてきました。つまり、樹から落ちて転がることで散布を図っているのだと解釈されていた訳です。ところが、自らを小動物の餌とすることが実は種子散布として機能していたのです。
生き物は全て己の子孫を残すことに必死です。落としたドングリを全て食べられてしまっては子孫繁栄は「お先真っ暗!」になります。そこで彼らは動物の生息数をコントロールしながら繁栄を試みる術を身に付けたのです。

http://www.macmil.co.jp/macmil/kiyomizu.htm
昔から「竹の花は不吉」とされ、花を付けるとその後一気に枯れてしまいます。全ての根が地中で繋がっているだけに厄介で、見渡す限りの竹林がいとも簡単に全滅してしまいます。その時、大量の花が地面に落ち小動物の格好の餌となり、たらふく餌を食べた小動物は爆発的にその数を増やします。問題はその先で、増えた数に見合うだけの餌が確保できずに飢餓が訪れます。
ドングリも大量に実を付けた後は小動物が爆発的に増えます。落とした実が全て食べられてしまっては元も子もありません。繁栄の機会が永遠に失われてしまいます。ところが自然界の仕組みは良くしたもので、小動物は食べきれないドングリを巣に持ち込んで保存する習性があります。硬い殻に守られたドングリは保存に向いているからです。必要以上に持ち込まれたドングリには、必ず食べ残しがでます。そこでドングリに繁栄のチャンスが訪れることになります。
ドングリは発芽する為に地中に潜らねばならなりませんが、、自分で地中に潜る力を持ち合わせてはいません。そこで小動物が利用されます。地中に残されたドングリの幾つかは、目出度く発芽を迎えることができます。それは種の繁栄が取り敢えず成功したことを意味するのです。子孫が無事発芽したことを知ると、その翌年には極端にドングリの供給量が意図的(?)に縮小されます。小動物がそのまま爆発的に増え続けては種の繁栄にとって危険だからです。こうして森の小動物はドングリによってその生息数がコントロールされ、森の秩序が護られているのです。実に見事な仕組みです。そして大型獣もその影響を受け人里に下ることになります…
茶に含まれるタンニンはポリフェノール)と呼ばれることが多いのですが、ポリフェノールは必ずしもタンニンのみを指すのではなく、タンニンの中でも分子量の小さなカテキンと非タンニン成分であるフラボノイドやスチルベン系化合物レスベラトロール)とその類縁体を含めポリフェノールと呼びます。 
また、植物化学や天然物化学の教科書では、「ポリフェノール」という曖昧な呼称は殆ど使わず、分子量の大きいタンニンが粘膜に対し刺激性を有し、収斂性が高い為に便秘を引き起こす原因ともなり得ることから、常用は好ましくなく、「ポリフェノール」と「タンニン」は明確に区別すべきとの意見もあります。
農林水産研究情報: 野ネズミにとってドングリは本当に良い餌か?
 

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