食の雑学 その16
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食の雑学 
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01 キムチの起源
02 ニンニクの原産地と語源
03 唐辛子伝来の歴史
04 ショウガとウコン
05 稲の原産地と日本
06 焼きたてパン信仰
07 エゴマはゴマではありません
08 マーガリンに潜む危険性
09 箸の文化は日本の文化です
10 焼き肉文化と韓国の肉食の歴史
11 日本の食文化・刺身の起源と歴史
12 韓国の冷麺スープを考える
13 ジャガイモと馬鈴薯・日本への伝来
14 メンマの由来と味付けメンマの起源
15 なぜ宵越しのお茶は体に悪いのか
16 お粥は消化吸収が良くありません
17 ごぼう(牛蒡)にアクはありません
18 蕎麦の原産地と日本への伝来
19 もつ鍋のコラーゲンに美容効果はない
20 砂糖の伝来
21  ドングリは食用になるのか
22 サツマイモの伝来とアグー豚
23 蒟蒻(こんにゃく)の伝来
食の雑学・補足
 補 足
01 キムチの賞味期限
02 キムチと乳酸発酵
03 唐辛子日本伝来説に異論
03 馬鈴薯とジャガイモは別物!
04 パンとご飯 どちらが痩せる?
05 辛いものは脳に悪いか
06 キムチは日本起源?
07 中国がキムチの起源を主張
08 世界の食用油 食用油の種類
09 冷麺は寒い冬の食べ物だった
10 日本の割り箸の種類
11 日本の肉食禁止の歴史
日本の伝統の色
Traditional Japanese colors 
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お粥は体に悪い・消化吸収が良くありません
お粥が本当は消化に悪いとしたらどうしますか?
食欲が無かったり、病気で寝付いたりすると、とりあえず「お粥」と言うご家庭が多いかと思います。柔らかく煮てあるお粥は大変食べ易く、病人や体が弱った人の定番メニューの最右翼と言えるものです。
恐らくお粥は柔らかく煮てあるので、消化吸収も良く、病人でも食べ易いことで、「病人=お粥」の図式が定着したものと思われます。
確かに柔らかく煮てあるお粥は、労せずして食べることができます。言い換えれば「噛まずとも飲み込む」ことが出来る流動食のような側面があります。これは食欲不振や減退時には大変有り難いものです。この「柔らかく煮てあるので消化吸収が良い」と考えられているところに、大きな落とし穴があったのです。実は、お粥は消化吸収が良いのではなく、逆に消化が悪い食べ物だったのです。
その理由として挙げられるのが、「ろくに噛まずに飲み込んでしまうから」と云うのがあります。私もお粥は大好きで、普段から常食してはいますが、やはり「呑み込んでいる」状態です。
良く噛まずに飲み込むと、唾液が充分に分泌されず、唾液の重要な役割である「消化酵素」が働かず、結果として消化吸収を悪くしてしまいます。唾液(だえき)は、唾液腺から口腔内に分泌される分泌液で、澱粉を麦芽糖(マルトース)へと分解するβ-アミラーゼを含む消化液として知られています。咀嚼時に大量に分泌され、食物の粉砕を容易にし、食塊の形成や嚥下を助ける働きをします。
食事は「一口30回は噛め」と言われているように、良く噛まなければ唾液が充分に分泌されないことは容易に想像がつきます。然しながら、お粥を食べるのに30回も咀嚼する人は恐らく皆無でしょう。
二番目の理由としては、余り指摘されないことですが、お米の表皮の問題です。お粥は米粒を柔らかくとろけるまで煮ます。このことにより比較的に固い表面部分が剥がれ落ち、「おもゆ」の中へと流れ出ます。本来は咀嚼により砕かれてしまう部分が、砕かれずにお粥の中に混ざった状態になります。つまりは、砕かれたコーンの入ったクリームスープの状態になる訳です。これが飲み込まれると、胃の状態が優れなかったり、弱ったりしている場合は、かなりの負担になるのは火を見るより明らかなことです。
病気で寝付いた時に、胃だけが元気というようなことはまず考えられません。体全体が不活性な状態にある訳ですので、お粥を与える場合は、体の状態に充分に配慮する必用があるかも知れません。
お米の種類
左からジャポニカ米の短粒種 中粒種 インディカ米の長粒種
日本ではお粥にジャポニカ米の短粒種を使います。出来上がりが全体にドッロとした感じになりますが、インディカ米の長粒種を使ったものは、余りドロットせず、さっぱりとした感じに仕上る傾向があります。
私自身はインディカ米のお粥に捨てがたい魅力を感じますが、多くの日本人は余り好まないようです。確かにインディカ米のお粥は、甘さとコクではジャポニカ米には遥に及ばないのは事実です。
梅干しはお粥の大切な友
梅干しの天日干し
梅干には昔から伝わる優れた効果、効能があり、その中でも「唾液の分泌を促す効果」は誰もが知る所です。因みに、「梅干を見たりすると口の中が酸っぱくなり自然に唾液が出る」、これは梅干を過去に食べた経験がある者だけに現れる現象だと云われています。
梅干のクエン酸は唾液の分泌を促進し、消化吸収を助けることが知られています。 また疲労回復、抗菌、防腐作用も広く知られています。故に、咀嚼を余りしない時に、唾液を故意に出させると言う意味では、お粥と梅干の組み合わせは、当に理に適った黄金の組み合わせと言えます。 

濃厚で美味しい中国粥の作り方
中国のお粥の2000年以上の歴史を持ち、その種類は甚だ多く実に1000種類を越すとも云われています。
華北(北京を始めとする中国の北方地域)では、お粥を朝食に食べることが多く、私も幼い頃北京のホテルに長期間滞在した経験がありますが、記憶では朝食はお粥(白粥)か饅頭(具の入らない塩味のもの)でした。
中国ではホテルに宿泊するものは、肉体労働をしないので、朝は軽く白粥に少量の漬物程度で良い、との認識だったようです。
さて、そこで濃厚な中国の白粥の作り方です。
最初に中国粥を作るにはスープが必要になります。日本のお粥はお米と水で炊きますが、中国ではスープを使います。人それぞれのレシピがあるでしょうが、私は昔からお米の量の12〜15倍程度の濃厚なスープを使用します。
まずは、濃厚なスープの作り方です。材料は鶏ガラと匂い消しの長ネギ、生姜です。(お酒が少しあれば更に良い)
@ 鶏ガラは大きくブツ切りにし、さっと湯にくぐらせ、血合いを固まらせます。
A 流水で血合いや、こびり付いた汚れ、余分な脂を取り除き、鍋にこの鶏ガラと水を入れ、強火で煮立たせます。
B 沸騰したらすかさず*1中火に落とし、ネギと生姜を加え、浮き上がってくる*2アクを丁寧に取り除きます。
*1: 静かに鍋の中でガラが踊る程度の火加減が丁度良い状態です。 *2: アク取りに失敗した場合は、一度火を止め、氷塊を数個入れ、徐々に加熱すると、取り損なったアクが再び浮いてきます。)
C 1時間ほど煮てから、中身を全てすくい出し、ザルに布巾(雑巾は不可!)広げ、静かに濾して下さい。
D 濾したスープを再度鍋(洗ったもの)に移し、弱火で元の量の三分の一程度になるまで煮詰めたら、スープは完成です。
次にいよいよお米の出番です。
@ 軽く洗ったお米(ボールに入れて2〜3回水を替える程度)をザルに移し、水を切り5分程度おきます。
A 洗った米に、少量のごま油を振り、満遍なく掻き混ぜ、米に馴染ませます。(ごま油が多すぎると油臭くなるので注意が必要です。)
B 米を煮立ったスープに少しづつ入れ、米粒同士が固まらないように掻き混ぜ、火を調整しながら約90分間煮ます。(完成まで掻き混ぜる手を休めてはいけません。美味しいものを食べるには手間暇がかかるものです。)
C お粥だけで食べる人は、塩少々で軽く味付けし、別におかずを添えるのであれば、特に味付けの必要はないと思います。
更に濃厚なお粥が作りたい方は、鶏ガラの他に鶏肉を使ったり、乾燥帆立て貝の貝柱、海老や蟹を使う手もあります。各自で工夫して楽しんで下さい。
日本の伝統色・色の呼び名
Traditional Japanese colors