食の雑学 その3 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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米はイネ科の1年草で今では世界各地で栽培が行われています。原産地は中国の雲南省から、ラオス、ミャンマーと国境を接する亜熱帯気候のかなり広範囲な地域と言われ、その栽培は10000年以上も前に遡れるようで、その起源は中国の長江(揚子江)流域とされ、畑作中心の黄河文明に対し稲作中心で,ジャポニカ種が栽培されていました。 日本での稲作開始時期の解明も徐々に進んでいるようです。今までは朝鮮半島からの伝来説が有力でした。ところが、中国政府が東北地方(旧満州)で20年以上費やした稲の品種調査と、最近の遺伝子工学的な取り組みが決定的な成果をあげ、朝鮮半島経由の可能性はまず無くなったと言えます。 米には品種を決定する遺伝子が7種類あります。このうち日本で発見された遺伝子は2つしかない。これを№1と№2とすると、№1は温帯ジャポニカ種で、№2は熱帯ジャポニカ種特有遺伝子になります 中国ではこの遺伝子が7種類全て揃っています。朝鮮半島では№2~7までの6種類で、№1のみが存在しません。この№7の遺伝子は低い気温の地方では存在できないためです。参考文献(PDF) |
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最新の年代測定法(放射性炭素年代測定)での研究でも、日本の稲作開始時期は陸稲が6700年、水稲が3200年程度前まで遡れることが判明しています。これは朝鮮半島の水稲栽培が1500年程度前までしか遡れないことと比較すと、日本の稲作開始時期が遙かに古いことが判明しています。 また、朝鮮半島の稲は九州北部と栽培法が酷似し、遺伝子学的には日本の古代米に中国から伝来した稲の遺伝子が交雑したものと考えられ、水稲は日本から朝鮮半島へ、陸稲は中国経由で朝鮮半島へ伝わったことをこれらの研究が示しています。中国の研究機関でも同じ結論が出ているそうです。 |
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▲ 姉妹サイト「So What」にジャポニカ米のDNAに関する最新情報を掲載しました。記事タイトルは「稲の原産地と日本への伝来」です。ページは2014/10/02 現在トップページですが、サイト更新に伴い自動的に順送りになります。更新後のサイトURLは
http://beijinduck.web.fc2.com/114.html です。
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2005年1月22日中国の共同通信は、【中国の国営通信「新華社」は22日,中国の長江下流の新石器時代の上山遺跡(浙江省浦江)から,約1万年前の世界最古の栽培稲のもみ殻が見つかった,と伝えた。新華社電によると,これまで最古の栽培稲は長江中流の遺跡などで見つかった8,000年前のものとされており,稲作の起源はさらに約2000年さかのぼることになる。同省の考古学研究所などが調査した結果,上山遺跡で約1万年前の土器とともに大量の稲のもみ殻が出土。もみ殻を調べたところ,野生種より長さが短く,幅は逆に太い栽培稲の特徴が確認できたという。】 |
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荒海を行く遣唐使船の想像図 (本文とは関係ありません) |
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米は日本人の主食で、世界の三大穀物(小麦・米・トウモロコシ)の中でも、特に重要な位置を占めます。日本では遥か縄文の時代から米を食し、米の文化を作りあげてきました。いくら食生活が変化し、西洋化したと言っても、炊き立てのアツアツのご飯を嫌いだと言う人には、未だ遭ったことがありません。それが日本人です。 余り知られていないのが、美味しいご飯を炊く道具の釜。昔はどこの家庭にもあった専用の釜ですが、最近ではこれがある家庭は稀で、このご飯を美味しく炊く専用の釜があるのは日本とタイだけです。稲作発祥の地である中国にも、また韓国(もともと米食の習慣は無かったようです)にも専用の釜はありません。 最近は日本の炊飯器の進出が目覚ましく、世界各地で大いに利用されています。これも米を愛してきた日本人だからこそ成し得た世界の食文化への貢献なのです。ちなみに日本の米食文化の代表とも言える鮨(今の寿司ではありません)はタイのプラーソムがそのルーツだそうです。 |
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左が昔からの釜 右が世界初の電気炊飯器 |
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稲は短粒のジャポニカ種と、長粒のインディカ種に大きく分けられます。ジャポニカ種はネバリがあり、日本や韓国で主に食べられ、インディカ種は他の国々で主に食べられています。 日本の米は世界でその美味しさが認められた世界最高水準の農産品です。しかし、いくら日本の米が美味しいからと言っても、カレーには不向きですし、チャーハンにしても美味しくはありません。それぞれ適した料理法がありそれが文化なのです。 もともと自生しなかった渡来の稲を気候風土に適したものへと、改良に改良を加え作り上げてきたご先祖様に感謝!です。 |
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原産地は中国の雲南省から、ラオス、ミャンマーと国境を接する亜熱帯気候の広い地域 |
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「玄米」とは稲の一番外側の米の籾殻(もみがら)を除去したもので、果皮、種皮、糠粉層、胚芽、胚乳の5つの部分からできあがっています。この「玄米」から糠(ぬか)を取り除き、胚芽を80%以上残したものが胚芽精米で、更にここから糠と胚芽を完全に取ったものが精白米です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ビール酵母の顕微鏡写真 |
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最近はなぜこれほど玄米が持て囃されているいるのか不思議です。ネット上には「健康に良い」を謳い文句にしたサイトが多数あります。「玄米」が古くから日本でごく普通に食べられていたかのような記述も多く見られます。その多くが何らかの形で「玄米」を販売していたりもします。果たして大騒ぎされるほど「玄米」は体に良いのかを少し考えてみたいと思います。 植物の種子は子孫繁栄のために、硬い表皮を持ち、同時に酵素阻害物質(酵素分子と結合しその活性を低下または消失させる物質)を含むことで、そのまま食べても消化吸収されてしまわないように進化してきました。これは鳥類等に食べられても、消化されずに糞と共に体外に排出され、効率的に広範囲へ己をばら撒く(種子散布)ことを目的としています。 【鳥や動物による種子散布に関しては「種子散布 助けあいの進化論1・2」上田恵介編・1999年・築地書館」が面白くお勧めです。この本の内容紹介】 玄米にも酵素阻害物質があり、発芽を促すために温水(ぬるま湯)に浸けておくことで、その80%程度が消滅し(20%程度は残るらしい…)、代わりに成長に必要な成分が活性化します。 玄米にも硬い表皮があり、フィチン酸が含まれるためにミネラルの吸収が阻害されます。また玄米は食物繊維が豊富なため、一度に大量に食べると本来体が吸収すべき栄養素まで絡め取って体外に排出させてしまうこんにゃくのような働きをします。現代人は恒常的(慢性的)に食物繊維が不足する傾向にあり、食物繊維を多く含む食品の摂取は健康維持のためには欠くことのできない因子と言えます。 然しながら、ミネラル類が不足すると悪化するような病気をお持ちの方や、歯が悪く咀嚼がうまく行かない、胃腸に障害があり消化不良に陥りやすい等々の方は、事前に医師に相談してから摂取することを強くお勧めします。何も調べずに常食すると症状を悪化させたり他の病気を併発する恐れもあります。 個人的には無農薬・有機栽培玄米には興味がありますが、持病の糖尿があり(それもかなり重い)、食事量が少ないためにビタミン、ミネラル類が不足することは避けがたく、常にビール酵母、その他の栄養補給食品で不足分を補う必要があります。 最近の研究では、フィチン酸によるミネラルの排出作用は、心配する程のものでないとの説もあるらしいのですが、エビデンス(科学的根拠)が分からない(私がですが…)ので何とも言えません。 また、フィチン酸がミネラルの吸収を阻害しても、その状態が続くと「体内貯蔵量が減り、逆に吸収率は上昇する」とも言われています。 健常者が通常の食事をしていれば、ミネラル不足に陥るようなことはありません。心配することはありませんが、微量でも不足すると健康状態に大きく左右しますので、常に注意を心掛けることだけは忘れてはいけません。 |
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水田は国土を守り日本人の食を支えます | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
● 「南丹生活」様のサイトで、ほのぼのとする素敵な絵を見つけました。是非ご覧になって下さい。自分の故郷でもないのに何故か懐かしいものを感じます。まさに日本人の心に中にある原風景です。【廣野文男作品集~思い出の中から・悠久の郷~】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
信じられないような話ですが、大正の頃までは日本全国において多発した「脚気」で、毎年2万人以上の人が命を落としていました。 脚気は食生活が豊かになった江戸時代後期から明治時代にかけて激増した病気で、昭和になってビタミン B1が発症に関与していることが解明され激減しました。ビタミンB1が発見されていなかった明治時代の軍部では、脚気による死者が戦死者数を上回り大きな問題となっています。 確かに玄米にはビタミンB1が精白米の4倍以上もあります。とは言え、世界大戦直後の一時期を除き、日本人は主に精白米を主食とし、そば、うどん、パン等、あらゆるものを日常的に食するようになりました。飽食の時代とも言われ、誰もが何不自由なく食べたい物を食べられる時代に入った訳です。街は多くの食品で満ち溢れ、「脚気」など既に根絶されてしまったかのようです。精白米を主食としても何ら問題は発生していません。 |
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如何に健康に良いものを選び、正しく摂取するかは各々の「自己責任」です。白米だけを常食しても、ビタミン、ミネラルの豊富な野菜類をしっかりと摂取していれば、問題の発生はまず考えられません。 野菜類の活用は最近話題の微量元素「ファイトケミカル(酵素阻害物質と同様に植物が紫外線等から自らを護るために作り出した成分)」の摂取にも有効と考えられています。 ところが最近、既に克服されたと思われている脚気が復活の兆しを示しています。新聞やTVの報道で既にご存知の方も多いかと思いますが、若い人達を中心に脚気と思える症状が多発しています。この原因を白米の常食に結びつける短絡思考の人々もいますが、これは、単にインスタント食品や、糖質の多量摂取、偏食による ビタミンB1の摂取量不足に他なりません。白米の常食がその原因ではありません。 現代人は細面の人が増加しています。これは硬いものを食べなくなったことがその原因の一つにあげられています。親知らずが生えない若者も多数います。時代と共に、食生活も体格も変化して行くことは、極々自然なことです。いつまでも北京原人ではいられないのです。 玄米は、白米の約9倍もの食物繊維を含み、便秘の解消や余分なコレステロール、糖分の排出を効果的に促すと言われ、生活習慣病の予防に役立つそうです。(玄米食信奉者) 食物繊維の目標摂取量は 20~25g/day とされています。ちなみに、成人の歯は、32本のうち20本が臼歯です。そして下顎が前後、左右に自在に動くことからも判る通り、穀物をすり潰すのに大変優れた構成になっています。当然のこと、玄米のようなものも容易く噛み砕くことができます。ここで問題になるのは、顎が若干退化した現代人は、良く噛んで食べることが苦手です。これは取りも直さず硬い表皮のある玄米のような食品を食するには、甚だ不適当で消化不良をも招きかねません。 |
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便秘の解消や肥満の防止、大腸癌を初めとする癌や高脂血症の予防、疲労回復効果や脚気の予防、老化防止、冷え性の緩和から美肌効果、等々と様々な効果効能が喧伝されています。 下の表は玄米と精白米それぞれに含まれる100gあたりの栄養素です。確かに玄米には精白米を上回る栄養素が含まれることが一目瞭然で、大変優れた食品かのような印象を受けます。これが曲者、要注意です! 話しは玄米から少しそれますが、「昆布」は基礎代謝を高め、体や知能の発育を促進させる「ヨウ素」の含有量が圧倒的に高い食品です。 ヨウ素は甲状腺ホルモンのチロキシンとトリヨードチロニンをつくる材料で、交感神経を刺激し、タンパク質や脂質糖質の代謝を促す働きを持ちます。この大切な栄養素の一つであるヨウ素を多く含む昆布ですが、食べてもその殆どが消化吸収されること無く、排出されてしまいます。これは便秘に効果があることでもお判り頂けるかと思います。 つまり、いくら栄養価の高い食品であっても、消化吸収されなくては何の意味もないと言うことです。まさに「玄米」がこれにあたるようです。 |
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玄米の主要栄養成分の吸収率は90%、白米のそれは98%にも及ぶと言われています。 また総エネルギー量でみると、玄米89.3%に対し白米は94.4%、窒素は玄米の72.7%に対して白米は79.6%あります。 脂肪では、玄米74.1%に対し、白米が94.7%になります。【大阪市大生活科学部 三好弘子・他 1986年】 また玄米食ではカルシウムの吸収量は82mg/Dayで、白米食の162mg/Dayの約半分です。ここから尿と共に体外に排出されるてしまう量を差し引くと、玄米食では16mg/Dayが体内に蓄積され、白米食の59mg/Dayの30%にも満たないことになります。 糞便中のカルシウムは、玄米食では505mg/Dayで、白米食の375mgより遙かに多く排出されてしまいます。またマグネシウムに至っては、玄米食では-34mg/Dayで、白米食の+48mg/Dayと比較すると恐ろしい程の低さ(と、言うよりマイナス)です。つまり玄米食を続けると、恒常的なマグネシウム損失状態に陥る危険性が生じることになりかねません。 白米と比較しダントツな量の食物繊維を含み(上の表)、便秘の解消や余分なコレステロール、糖分の排出を効果的に促し、生活習慣病の予防に役立つと言われ、大腸癌をも効果的に予防すると言われています、 ところが、全米科学アカデミーの1982年の報告によると、「食物繊維が大腸癌を予防する疫学的な報告は一部を除きその有用性を認めておらず、有用性にを裏付ける決定的な証拠は発見できない。」としています。 つまり「数ある食物繊維の中で、どの繊維がどのように働き、どのような有害物質を吸着し無害化するかは、疫学的に全く特定できていない」と言うことになります。 更に玄米食において重要視されているのは、カルシウムやマグネシウムの吸収が著しく阻害されてしまう点だと言われています。いわゆる酵素阻害物質の存在です。 玄米食の孕む問題を科学的に指摘する研究は多数ありますが、逆に根拠のある証拠によって玄米食の有用性を証明した研究は皆無です。これは大きな問題と思われます。信じられて来た事柄と実際は眞逆だとしたら恐ろしいことです。 |
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最近注目されている残留農薬問題ですが、稲作には有機リン系とカルバメート系の殺虫剤と、有機塩素系の除草剤等の農薬があります。有機塩素系農薬は稲の茎の中間あたりまでしか吸い上げられず、直接の問題はありませんが、害虫(害虫や雑草の定義を調べてみると面白いですヨ!)駆除を目的とした殺虫剤は、直接稲に散布されるので話は異なります。確かに除草剤と比較し分解しやすいとの指摘もありますが、収穫直前に散布された場合は、残留する可能性が非常に高いとも言われています。 下は1988年に大阪大学理学部 上村振作氏 が、玄米の有機リン系農薬スミチオンの残留量を調査した結果です。ごく限られた地域を対象とした調査ではありますが、玄米食の残留農薬の危険を理解する一応の目安とはなる筈です。 |
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米・米ぬか残留スミチオン(MEP)分析結果 単位はppm
不検出:0.0005ppm以下 |
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有機米は第三者機関で認証を受けているか否かを購入前に確認して下さい。認証を受けた有機農産物には、有機JASマークがついています。上は種蒔きや植付け前、2年以上に渡り原則として化学肥料や農薬を使用せず、たい肥などの有機肥料により作られた農産物や、その加工食品に付けられるマークです。しかし「原則として…」とはどういう意味ですかネ~!なお写真は本文とは関係ありません。 どちらにしても無農薬であっても、周辺農地の農薬散布状況により大きく左右されます。「米・米ぬか残留スミチオン(MEP)分析結果」でもお判り頂けたかと思いますが、無農薬だと言っても残量農薬が皆無ということではありません! |
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Traditional Japanese colors |
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