食の雑学 その12 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
HOME |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
冷麺スープの基本は、野菜を使ったヘルシーなサッパリしたトンチミの汁です。然しながら、最近は牛のスープを使ったものを見掛けることが多くなりましたし、韓国では牛のスープを使ったものが主力です。 韓国料理にはスープに牛を使ったものが甚だ多く、大変不思議な感じを受けます。果たしてこのやたらと牛を使う習慣は何時頃から始まったのでしょうか。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1951/01/04 中国軍が朝鮮戦争に参戦し、国連軍が後退した時にソウルを脱出する市民 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
食の雑学その10「焼き肉文化と韓国の肉食の歴史」にも書いた通り、牛の飼育には、広い土地と多くの牧草や穀類を必要とすることが知られています。 牛肉を1キロ生産するのに、約8キロの穀物を必要とし、豚肉1キロでは4キロ、鶏が2.2キロとなります。つまり、食用の牛を育てるのは大変エネルギー効率の悪い作業なのです。ましてや冷麺の生まれた山岳地が多い朝鮮半島北部においては、放牧地に適した無駄な土地など無く、あれば必ず人間が生きて行くために、穀物の生産にあてられていました。 そもそも食糧事情の決して良くない半島ですので、一般民衆(一部の特権階級を除く)が牛や豚を食生活に取り入れていたとは考えられず、またその種の文献も発見されてはいません。李氏朝鮮の宮廷の牧場でさえ、羊を除いては大した数を飼育してはいなかったことは文献からも明らかです。 ● 牛肉と戦争との関係については、食の雑学その10「焼き肉文化と韓国の肉食の歴史」を参照して下さい。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
焼き肉文化同様、韓国での冷麺もまた朝鮮戦争をキッカケに、進駐軍の影響で始まったここ半世紀程の食習慣だと言っても良いでしょう。確かに冷麺はそれなりの長い歴史を持ってはいますが、蕎麦を主体とする麺料理は、元々良質な蕎麦を収穫できる北の文化であり、南のそれは小麦を主体としたうどん(クッス)です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
つまり、今の韓国における(日本も同じですが)冷麺は、小麦に蕎麦粉と澱粉を混ぜたものが主流で、本来は蕎麦粉と澱粉を混ぜて作る冷麺とは、厳密に言えば原材料も製法も異なる別ものなのです。 この現在の形の冷麺が作られたのは、朝鮮戦争当時北から南へ逃れてきたも人々だと云われています。恐らく故郷の麺料理を偲んで米軍放出品の小麦(戦時中であり国内産は当然のこと入手困難)を利用して作ったのが、今や大勢を占める小麦主体の冷麺のルーツだと言えます。太平洋戦争(第2次世界大戦)直後に日本の闇市で産声を上げた「焼き肉文化」とどこか似ていなくもありません。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
戦地での軍隊は必要以上に食肉を必要とします。これは軍人の胃袋を満たす他に、現地住民に対する食糧援助が必要だからです。当然、その中から横流しされるものも多く、また横流しされずとも牛を解体した後には、食用に供さない部位や骨が必ず残ります。恐らく、この残った部位や骨を使って最初のスープが作られたと考えられます。そしてこの時代には、戦を逃れ北から避難してきた人の手により、南部で多く採れる小麦を主体とした北とは異なる冷麺が生み出され、その後、今の形として定着したものと考えられます。 今や先進国はみな飽食に突入し、国際間の頻繁な取引や、乱れ飛ぶ各種の情報により、伝統的な食文化を大きく変貌してしまうことも少なくありません。魚介類や根菜、山菜等を常食とするヘルシーな韓国料理のイメージは、今やそのメインが焼肉だと錯覚するほど牛肉に偏っています。そして、何より不思議なのが、他のアジアの国々では豚や鶏が多く消費されるのに比べ、牛が幅を利かせているアジアで唯一の地域なのです。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 用意する材料:鶏肉(胸肉)・鶏ガラ・長ネギ・生姜・塩・砂糖・醤油 ■ 下ごしらえ: 鶏肉(丸ごと)と鶏ガラ(適当な大きさに切り分ける)は必ず油通しします。鶏肉の湯通しは表面の肉汁がアクとなりスープを濁らせない為で、鶏ガラは付着した脂肪や血を取り除く為です。鶏ガラは湯通し後に流水で丁寧に汚れを取り去って下さい。この作業を怠ると、スープの味が落ち、透明度がもまた悪くなります。 (余談ですが、鶏ガラの首の部分はオーブンで焼いて醤油をつけて食べると美味しいですヨ) ■ 作り方: @下ごしらえした鶏胸肉は、匂い消しの生姜スライス、長ネギ(青い部分)と共に、必ず水から丁寧にアクを取りながら、火力の中〜小で煮ます。(生姜と長ネギは沸騰したら取り除きます) A1時間程度煮たら火を止め鍋ごと冷まして下さい。(鶏肉は必ずスープに入れたまま冷してから取り出して下さい) B鶏ガラは、先ほど鶏肉を煮て冷ました汁に、生姜のスライス、長ネギと共に入れ、ゆっくり加熱し充分に旨みを引き出します。長ネギは早めに、生姜は適当な時期に取り除き、1時間程度アクを取りながら煮た後に、スープをふきんで濾し、取りきれなかったアクを綺麗にします。 C濾し終わったスープを、弱火で更に時間をかけて元の3分の1程度になるまでゆっくりと煮つめ、可能な限り浮いてくる脂は取り除いて下さい。 Eに砂糖、塩、醤油(香り付け程度)で味付けをして冷ましておきます。スープ類は冷ますと塩気を強く感じるようになるので、薄味に仕上げるようにして下さい。 F冷ましたスープを冷蔵庫で更に冷すか否かは好みの問題ですが、冷しすぎは味覚が鈍りますので注意して下さい。食べる直前に急いで冷す場合は、スープをボールに入れ、更に大きめなボールに水と氷を入れ、その中に入れて湯煎(この冷やす場合は何と呼ぶのか…)して下さい。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
茹でた鶏肉は割いてトッピングに利用します。残ったらこちらを参照して下さい→ http://www.in-ava.com/kimuchiresipi-00.html | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Traditional Japanese colors |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||