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ウキの理想的な形状についての考察
ウキを科学する 序章
流体力学と水力学 その1
流体力学と水力学 その2
既存のウキを考える
水槽実験での考察と検証 その1
水槽実験での考察と検証 その2
水槽実験での考察と検証 その3
水槽実験での考察と検証 その4
理想的な形状を持つウキの製作 その1
理想的な形状を持つウキの製作 その2
最終章 イナバウキの数々
ウキの色と視認性
ウキの感度と浮力の関係
 
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ウキの感度と浮力の関係・大きな誤解
感度と浮力は全く関係無し!
カルマンの渦流
多くの方は浮力を極力殺し、水面ギリギリに浮揚するウキは、感度が高いとお考えではないでしょうか。確かにそのように解説しているサイトもあります。然しながら、これは大きな間違いです。
互いに異なる事柄を比較しても何の意味もなしません。比較には同一の条件を用意しなければなりません。これは「パンとご飯とどちらが美味しいか」を比較するようなもので、個々の好みに大きく左右されます。
「美味しい」と言う条件では比較には無理があります。例えば、「納豆はパンとご飯のどちらと一緒に食べれば美味しいか」と言う設問であれば納得できます。
比較するには、対象に共通した条件が必要です。パンとご飯はそれぞれが美味しく、それぞれが個々が育った環境や、生い立ち、食習慣等に大きく左右されます。ところが納豆と言う条件が加わるとことで、初めて両者を比較することが可能になります。
ウキも同じで、「浮力」と「感度」と言う、まるで異なった条件を、比較の対象に選ぶことはできません。浮力はアルキメデスの原理から導き出された物体を浮揚させる力のことで、感度は初期動作の鋭敏性、つまりは如何に速く反応できるかの即応性のことです。
浮力は小さければ小さい程、僅かな力を加えただけで沈降します。しかし、これはを感度の良し悪しの判定基準にすると誤解が生じます。水面ギリギリを浮揚する物体は、浮力を上回る負荷が加われば沈降するのは当たり前です。例え、それが10万トンのタンカーでも、10gのウキであっても、浮力が1gだけであれば、1gの負荷を加えれば、サスペンドし、それを僅かでも上回れば静かに沈降します。
一方、感度とは如何に速く反応するかと言う「即応性」と「鋭敏性」の問題です。浮力1gの10万トンタンカーと10gのウキの双方に、2gの負荷を加えた時の初期動作を指します。タンカーもウキも共に水中での見かけ上の重量は、僅か1gです。すると、残される問題は摩擦抵抗のみになる筈です。
抵抗が小さければ小さいほど、加えられたエネルギーの損失が少なく、エネルギーを効率良く保持し続けることができます。つまり、より早く沈降動作に移行し、その状態をより長く保持し、そしてより深い深度に到達できます。
感度=抵抗が少ない

浮揚する物体が如何なる物であっても、直接力が加われば反応するのは当たり前で、ウキにとって大切なことは、その一瞬のエネルギーを如何に保存し、釣り人にアタリだと知らせる「視覚化できる表現能力」が大切だと言えます。
「感度=抵抗が少ない」と言う意味では、感度は浮揚する物体の形状に由来すると本文で何度も書きましたのでここでは詳しく触れませんが、移動する物体は、進行方向後ろに発生する渦流により、後方へ引っ張られる力が発生し、急激にエネルギーの減衰を引き起こします。この後方に発生する渦流、即ち「カルマンの渦流」が、加えられた一瞬のエネルギーを保存し、豊かな表現力をもたらす最大の要素です。浮力とはまるで関係の無い反応です。この辺りを感度と混同して解説しているサイトが多くあるのは事実です。
イナバウキは基本的な使い方として、ウキトップのみを水面上に突き出して使用します。つまりトップ以外は全て水面下にあり、そこに浮力は生じません。イナバウキの浮力は突出したトップが排除する流体と等しくなります。これはかなり少ないと思われると思いますが、そうでもありません。遠投するタイプのトップは直径3mmでかなり長いものを使いますので、沈降する際は無視できない浮力が生じます。そのマイナス要素を補うのがイナバウキの持つ1:4.5の独特の形状なのです。
タバコを吸いながら釣りを楽しむ筆者
吸殻は決して海には捨てません! 胸にぶら下げている黄色の物が吸殻入れです
 
Traditional Japanese colors