SINCE 10 MAR 2008 | |||||||||
HOME |
|
||||||||
|
|||||||||
|
|||||||||
いままで述べてきた方法と実験を通し、多くの形状を試し、その中でも特に高い運動性能を示した比率1:4.5を中心に、何種類かの比率の多くのウキを製作しました。それを東京湾の防波堤から三宅島の磯まで、何十回も釣行を重ね実釣もしました。雨や風の強い日、波の高い日や、穏やかな日、朝マズメから夜中まで、あらゆるフィールドで、約2年の歳月をかけて得られた形状を検証してみました。 我田引水、自画自賛になりますが、比率1:4.5は非常に感度が良く、小さな前触れアタリにも確実に反応します。波浪中での安定性も申し分なく、視認性もかなりのものです。ただし長いトップを有するが為に、風雨の強い場所では影響を受け易く、トップが斜めになってしまいます。特にこれによって感度が落ちたり、視認性が低下するようなことはありませんが、弱点の一つと言えます。また、かなり全長が長いので、振込フォームを誤ると、糸が絡まり易くなります。特に強い風の中で使用する際は充分な用心が必要です。恐らくこのウキの最大の弱点です。更に、サラシでの使用は比率を落とした形状が有利だと言うことも判りました。 本体下部の長い足が横からの流れに反応し、潮に乗り易く、素早く目的のポイントに餌を届けることができます。遠くへ流した仕掛けを回収する際にも、この抵抗の少ない形状が有利に働き、仕掛けの巻き取りが容易になります。 下の【図-81】は、三宅島釣行に際し製作した離島の「サラシ専用のメジナ(グレ)ウキ」で、自立タイプで3号オモリを負荷すると安定します。離島のメジナは警戒心が少ないので、鋭敏さよりサラシでの安定性に重点をおきました。またこれは高い位置からの釣りになるので、上からの視認性を高めるための工夫もしてあります。上部を逆テ−パーにし本体の体積を減らしています。この逆テーパーの部分が水面に露出し、視認性向上の役割を果たします。更に全体を蛍光赤で塗装することによりウキを見失うこともありません。 然しながら、このメジナウキは当初の目的であったものとは異なった方向へ向かってしまったので、その場に適したものであっても一種の失敗作です。またチョコマカ上下に動くので好きなタイプではありませんでした。 【図-82】は理想的形状を持つと言っても差し支えの無いタイプですが、これは自立タイプではありません。初期のプロトタイプで、小さなナツメ型オモリにサルカンを装着してあります。現在はこのタイプを使用せず自立タイプでないものは全て【図-83】の方式を採用しています。 序章の写真(下の写真)にあるものは、全長が600mmある大型のもので、トップには3mmのカーボンを採用しています。視認性は抜群で、順光であれば100m流して(余り必要性がありませんが…)も充分に確認できます。現在は江戸川河口域で流れに乗せて、通常では届かないポイントのスズキ釣りに活用しています。下の写真は三宅島へ試験釣行した際のものです。自立型で下部のオモリは7号で、磯の大物狙い用ですが、離島では繊細さは必要なく、ただ浮いてさえいれば良いとの印象を受けました。(乱暴かな?) |
|||||||||
|
|||||||||
【図-84】は本体下部に足が無いタイプで、重心位置が浮力の中心に近く、波浪中での安定性に欠け、横風の影響を受け易くなります。また、足が受ける流れの影響が無くなり、小さな流れへの反応が低下します。長所としては糸の絡みが少なく、振込フォームを選ばず、風のない穏やかな釣り場では比率1:4.5の本来の運動性能を示します、 【図-85】は長いトップを取り去ったタイプで、遠くへ流した際に視認性に問題が生じます。また波浪中では露出部分を多くしないと、著しく視認性が劣ります。然しながら、透明度の高い釣り場では充分に視認性が高く、小さな流れを捉える能力に優れ、潮の乗りも問題なく、振込フォームを選ばず、強い風の中でも糸絡みせず高い運動性能を示します。強いサラシには余り向いているとは言えません。 |
|||||||||
【図-84】 【図-85】 【図-86】飛ばしウキ兼水中ウキ 下がミチ糸側です チカラ糸は必要ありません 小型のアタリウキ 全長20mm |
|||||||||
【図-86】は風の強い日に使用する飛ばしウキ兼水中ウキとして考えました。このタイプは投入後に水中でサスペンド(水中で浮力がゼロになり漂う様を指します)状態になり、連携させるアタリウキの適合オモリ(ミチ糸とハリスの間のオモリ))に引かれ定位置まで沈降します。これはなかなかの傑作です。 弾力のある塩ビのパイプが長く伸び、その中間にオモリを装着し一体化させてあります。投入時にはこのパイプが天秤の役を果たすので、強風下でも糸絡みを心配せす、軽いアタリウキを力一杯振り込めます。投入後は水中に定位し、流れの影響を受けて移動し、流れと風の向きが逆であっても、アタリウキが潮に乗り易くなるよう促します。 長竿向きで、投入する際は周囲に充分気を付ける必要があります。アタリウキは負荷オモリを装着しないタイプを使用し、飛ばしウキ自体は完全遊動で使用します。形状自体は比率1:4.5なので、高い能力はそのままで、優れた運動性能を維持し、シモリ玉のように大きな抵抗が生じず、魚に警戒心を与えません。ミチ糸がパイプ通過する分抵抗が増加する筈ですが、これを感じさせることは全くありません。 透明度の高い釣り場では、アタリウキとの双方でアタリをとることが可能です。この場合の飛ばしウキは目立つ色で塗装(通常は薄いグレーのに艶消しで塗装しています)しておく必要があります。 |
|||||||||
サルカン付きオモリ ウキ止め ビーズ玉 本体 アタリウキ(シモリ玉) ウキ止め 【図-87】 携帯に便利で万能に使える仕掛けの構築 携帯するには仕掛け巻きにセットします 斜めウキ |
|||||||||
【図-87】は竿下の釣り用にデザインしたもので、浮力をギリギリまで抑制し、アタリウキの浮力のみで辛うじて浮揚するタイプです。このタイプは40mm程度の小型のものから150mm程度の大型のものまで幾つか製作しました。塩ビ管が本体中央を貫く中通し仕様です。本体をどの程度の水深に留めるかは、釣り場の状況により異なりますのでウキ止めで調整します。この辺の使い方は【図-86】の飛ばしウキ(水中ウキ)と全く同じで遊動式か固定式かも状況に応じて判断します。 円錐ウキ本体は水中にあり、仕掛けの全重量を支える役を果たします。浮揚するウキで仕掛け全体を支えるとなるとウキの大型化は避けられませんが、この方法ですと浮力の小さいものをアタリウキに使用でき、竿下の、それもある程度の深場を探る釣りに適します。 防波堤近くに寄る大型魚や、湖沼の大物狙いでタップリ(イカゲソ状態)と餌を使いたい人向きです。竿下に大型のウキが見えるのは割りとカッコ悪いものですので… |
|||||||||
理想的な形状と言える比率1:4.5を基本に幾つかの試作をしましたが、どれも予想通りの機能を発揮しました。前触れアタリを大切にする繊細な釣りを好む方には大変適したウキだと言えます。特に【図-82】の自立タイプは、繊細な前濡れアタリを確実に表現でき、アワセのタイミングを逃しません。クロダイ(チヌ)釣りには最高の武器となります。 見つかった原稿の内容は、ほぼ移し終えましたのでこれで完了です |
|||||||||
生け花の代わりに我が家ではコレ! イナバウキの作品紹介 |
|||||||||
Traditional Japanese colors |
|||||||||
|
|||||||||